平成24年3月定例会意見書
こころの健康を守り推進する基本法の制定を求める意見書
心身の健康は、一人ひとりの国民の基本的な権利であり、社会の活力と発展の基盤をなすものである。しかし、現在の我が国は、年間自殺者が3万人にも上り、320万人を超える方々、つまり国民の40人に1人以上が精神疾患のために医療機関を受診しているという数字に代表されるように、「国民のこころの健康危機」といえる状況にある。ひきこもり・虐待・路上生活など多くの社会問題の背景にも、こころの健康の問題があるといえる。
しかし日本における精神保健・医療・福祉のサービスの現状は、こうしたこころの健康についての国民ニーズに応えられるものではない。
世界保健機関(WHO)は、病気が命を奪い生活を障害する程度を表す総合指標(障害調整生命年<DALY>:disability adjusted life years)を開発し、政策における優先度を表す指標として提唱しているが、この世界標準の指標により、先進国において命と生活に最も影響するのは精神疾患であることが明らかになった。
精神疾患は、それに続くがんと循環器疾患と合わせて三大疾患の一つといえる。(WHOの「命と生活障害の総合指標」による)
欧米では、この指標に基づいて国民の健康についての施策が進められているが、日本ではそうした重要度にふさわしい施策がとられてきていない。
こころの健康危機を克服し、安心して生活ができる社会、発展の活力ある社会を実現するためには、こころの健康を国の重要施策と位置づけ、総合的で長期的な施策を実行することが必要である。
よって、その重要性にふさわしく、すべての国民を対象とした、こころの健康についての総合的で長期的な施策を保障する「こころの健康を守り推進する基本法」の制定を強く求める。
以上、地方自治法第99条の規定に基づき、意見書を提出する。
平成24年3月22日
橿原市議会
送付先
内閣総理大臣 厚生労働大臣
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父子家庭支援策の拡充を求める意見書
父子家庭が年々増えており、多くの父子家庭も母子家庭同様、経済的に不安定で、子育て等でも多くの課題を抱えているが、父子家庭と母子家庭では、行政による支援の内容に大きな差がある。
児童扶養手当法改正により平成22年8月1日から、母子家庭の母を支給対象としていた児童扶養手当が父子家庭の父にも支給されることになった。しかしこのほかにも、母子家庭が受けられる行政による支援制度(就労支援や技能習得支援、福祉貸付金、自立支援給付金など)の多くが、父子家庭では受けられない。
よって、政府におかれては、対象が「母子家庭」に限られている諸制度に関して、「父子家庭」も対象とするよう改善を行うとともに、以下の項目について速やかに実施するよう強く要望する。
記
- 遺族基礎年金の父子家庭への拡充策として、死別の父子家庭の父においても支給対象とするとともに、父と子が共に暮らしていても子に遺族基礎年金が支給されるよう改正すること。
- 母子寡婦福祉資金貸付金、高等技能訓練促進費事業及び特定就職困難者雇用開発助成金の対象を父子世帯にも拡大すること。
以上、地方自治法第99条の規定に基づき、意見書を提出する。
平成24年3月22日
橿原市議会
送付先
内閣総理大臣 厚生労働大臣 総務大臣 男女共同参画担当大臣
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障がい者の権利を保障する新たな総合福祉法(仮称)の制定を求める意見書
「障がいが重いほどサービス利用料も増える『応益負担』制度の障害者自立支援法を廃止してほしい。」、これが障がい者、家族の切実な願いである。
しかし、厚生労働省が本年2月の新法制定に向けて、示した法案の概要は、昨年8月に政府がまとめた「骨格提言」の具体化と落差があり、利用者負担原則無償化を見送り、対象範囲を難病患者にとどめる内容になっている。これでは、障害者権利条約の求める社会を実現することはできない。
今日まで、平成18年4月に施行された障害者自立支援法はさまざまな問題点が指摘され、とくに応益負担制度は障がい者、家族に多大な負担と苦しみを強いてきた。それゆえ、政府は平成22年1月に、障害者自立支援法訴訟の原告との間で、速やかに応益負担制度を廃止するとともに、遅くとも平成25年8月までに障害者自立支援法を廃止し、新たな総合的福祉法制を実現するとの基本合意を交わした。
一方、国連では平成18年12月に障害者権利条約が採択され、既に100カ国以上が批准を終えているが、我が国では国内法が未整備のため、批准に至っていない。
人間は一人ひとりの存在が心から大切にされ、だれもが排除されることなく社会的に包摂されなければならない。障がいの有無、種類や程度、家族の状況、経済力、居住する自治体にかかわらず、障がい者自らが選んだ地域で自分らしく暮らせる社会を実現するべきである。
よって、政府においては障害者自立支援法の基本的な枠組みを残すのではなく、平成23年7月に改正された障害者基本法や「障害者総合福祉法の骨格に関する総合福祉部会の提言」を尊重し、地方自治体への財源を充分配慮し、障がい者の権利を保障する新たな総合福祉法(仮称)を着実かつ速やかに制定することを強く要請する。
以上、地方自治法第99条の規定に基づき、意見書を提出する。
平成24年3月22日
橿原市議会
送付先
衆議院議長 参議院議長 内閣総理大臣 財務大臣 厚生労働大臣 もんぶかg
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東日本大震災で発生したがれきの受け入れの検討を求める決議
平成23年3月11日 午後2時46分 東日本大震災が発生し、東北地方をはじめとする東日本の広範囲にわたる地域が想像を絶する大きな被害を受けた。被災から1年が過ぎた3月11日には、全国各地で追悼式が営まれ、悲しみの中、犠牲となられた方々に鎮魂の祈りがささげられ、本市議会においても、3月13日、本会議前に震災により犠牲となられた方々に対し、哀悼の意を表するため黙祷をささげ、また、一も早い被災地の復興を願った。
被災地では、震災直後から不眠不休で、復旧・復興に取り組まれ、本市からも延べ96人もの職員を被災地に送り、復旧・復興の支援を行っている。
震災から1年、今、被災地での復旧・復興の大きな障害となっているのは、津波に襲われた町々にそびえる「がれきの山」である。がれきの山を前に立ちすくんでいる被災された方々。岩手県、宮城県及び福島県3県で発生した2,250万トン以上のがれきのうち処分できたのは、6%台にとどまっている。これが被災地の現実である。がれきの処理なしに復旧・復興はありえない。
震災後、世界各国から被災者への救援活動、支援物資、義援金など暖かい支援の手が差し伸べられた。その支援に応える意味でも、今こそ、世界に日本人の絆の強さを見せ、また日本の底力を見せるときである。日本は、今、試練に立たされ、試されている。
3月16日、政府は、野田佳彦首相名で、がれきをすでに受け入れたり、具体的な検討を始めたりしている自治体を除く35道府県と10の政令指定都市に対し、協力を求める要請書を送付し、4月6日までに災害廃棄物処理特別措置法に基づき検討状況を文書で回答するように求めている。環境省は、放射性セシウムの濃度が1キロあたり8,000ベクレル以下の焼却灰は一般のごみと同じ方法で安全に埋め立て処理ができるとの基準を示しているが、それは、昨年の6月の段階で原子力安全委員会が「当面の考え方」として示したものに準拠して審議されただけの数値である。
したがって、受け入れに対し前向きの姿勢を表明している自治体では、政府が示す基準ではなく独自の基準を定め、受け入れの条件としている。たとえば、関西広域連合では、がれきは1キロあたりの放射性セシウムが100ベクレル以下、焼却灰は1キロあたりの放射性セシウムが2,000ベクレル以下との基準を示している。これは、震災後の福島原発事故などの国民生活に対する安心・安全への政府の対策が、不十分であったからともいえる。政府が求めている岩手県及び宮城県のがれきは放射性セシウム濃度が総じて低いとはいえ、ゼロとは限らない。政府は、がれきの受け入れを自治体に求める前提として、がれき処理の基準と対策を抜本的に見直し、国民生活の不安を払拭する必要がある。
しかし、がれき処理が遅々と進まない場合は、2度目の夏を迎えることになる被災地では、再び、悪臭が漂い、生活環境が悪化する状況にある。がれき処理は喫緊の課題であり、日本全体で取り組まなければならない。
本市議会は、本市に対し、下記の事項を条件として、がれき受け入れの検討を始めることを要請する。
記
- 政府に対して、がれき処理の基準と対策の抜本的な見直しを要求すること。
- 本市焼却灰の処分場である「大阪湾広域臨海環境整備センター(フェニックス)」と、十分な協議を行うこと。
- 科学的見地から放射性セシウム濃度の影響を検証し、本市独自の放射性セシウム濃度の測定体制を整え、岩手県及び宮城県から通常の廃棄物と判断されるものについてのみの受け入れとすること。
- 市民の不安を払拭するため、情報を公開し、市民への説明責任を果たすとともに、地元住民の十分な理解を得ること。
- その他、がれき受け入れに対して十分な検証を行うこと。
以上、決議する。
平成24年3月22日
橿原市議会
送付先
橿原市長
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奈良県橿原市小房町11-5(かしはら万葉ホール)
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更新日:2023年03月28日