平成22年12月定例会意見書

更新日:2023年03月28日

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ヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV-1)総合対策を求める意見書

ヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV-1)は、致死率の高い「成人T細胞白血病(ATL)」や、進行性の歩行・排尿障害を伴う「せき髄疾患(HAM)」等を引き起こす。国内の感染者数(キャリア)は100万人以上と推定され、その数はB型・C型肝炎に匹敵する。毎年約1000人以上がATLで命を落とし、HAM発症者は激痛や両足麻痺、排尿障害に苦しんでいる。一度感染すると現代の医学ではウイルスを排除することができず、いまだに根本的な治療法は確立されていない。
現在の主な感染経路は、母乳を介して母親から子どもに感染する母子感染と性交渉による感染であり、そのうち母子感染が6割以上を占めている。このウイルスの特徴は、感染から発症までの潜伏期間が40年から60年と期間が長いことである。そのため、自分自身がキャリアであると知らずに子どもを母乳で育て、数年後に自身が発症して初めて我が子に感染させてしまったことを知らされるケースがある。この場合、母親の苦悩は言葉では言い表せない。一部自治体では、妊婦健康診査時にHTLV-1抗体検査を実施し、陽性の妊婦には授乳指導を行うことで、効果的に感染の拡大を防止している。
平成22年10月6日、厚生労働省は、官邸に設置された「HTLV-1特命チーム」における決定を受け、HTLV-1抗体検査を妊婦健康診査の標準的な検査項目に追加し、妊婦健康診査臨時特例交付金に基づく公費負担の対象とできるよう、通知を改正し、各自治体に発出した。これにより全国で感染拡大防止対策が実施されることになる。そのためには、医療関係者のカウンセリング研修やキャリア妊婦等の相談体制の充実を図るとともに、診療拠点病院の整備、予防・治療法の研究開発、国民への正しい知識の普及啓発等の総合的な対策の推進が不可欠である。
よって政府におかれましては、ヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV-1)の感染拡大防止に伴う「HTLV-1総合対策」を推進するため、以下の項目について早急に実現するよう強く要望する。

  1. 医療関係者や地域保健担当者を対象とした研修会を早急に実施すること。
  2. HTLV-1母子感染対策協議会を全都道府県に設置し、検査体制、保健指導・カウンセリング体制の整備を図ること。
  3. 相談支援センターを設置し、感染者および発症者の相談支援体制の充実を図ること。
  4. 感染者および発症者のための診療拠点病院の整備を推進すること。
  5. 発症予防や治療法に関する研究開発を大幅に推進すること。
  6. 国民に対する正しい知識の普及と理解の促進を図ること。
  7. 発症者への支援、福祉対策を推進すること。

以上、地方自治法第99条の規定に基づき、意見書を提出する。
平成22年12月17日
橿原市議会

送付先

内閣総理大臣厚生労働大臣

リンク先の「決第14号」をご覧ください。

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大学予算の削減を中止し、次代を担う若者・研究条件の確保を求める意見書

政府の来年度概算要求で大学予算の一割を削減する閣議決定されたことに対して「国立大学の授業料が年間20万円以上、現在の1.5倍になってしまう」など深刻な影響を憂慮した声が大学生から上がっている。
これまで国立大学では、独立行政法人化されて以降6年間で合計830億円も運営交付金が削減された。さらに一割削減されれば運営交付金が1,000億円以上減ることになり学部や研究室など教育・研究機能が停止しかねない事態を生みだすことになる。
私立大学でも経常費補助は11%に低下しており、国立大学をはじめとして多くの関係者が教育基盤と科学技術の基盤に壊滅的な影響を及ぼすと述べている。
よって、政府におかれては、大学予算の削減を中止し教育・研究条件を確保することを求めるものである。
以上、地方自治法第99条の規定に基づき、意見書を提出する。
平成22年12月17日
橿原市議会

送付先

衆議院議長 参議院議長 内閣総理大臣 財務大臣 文部科学大臣

リンク先の「決第15号」をご覧ください。

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領土問題を平和裏に解決するために政府の適切な対応を求める意見書

尖閣諸島をめぐる紛争問題を解決するために、何よりも重要なことは、日本政府が、尖閣諸島の領有の歴史上、国際法上の正当性について、国際社会および中国政府にたいして、理を尽くして主張することである。
しかし、歴代の日本政府は、1972年の日中国交正常化以来、本腰を入れて日本の領有の正当性を主張してこなかったという問題がある。
今回の漁船衝突事件でも、政府は「国内法、司法で対処する」というだけで、肝心の外交的主張を怠ってきたことが日本固有の領土である尖閣諸島の領有に、中国側の領有権の主張を許してしまう隙をあたえてしまっている。また、ロシア連邦のメドベージェフ大統領が、ソ連時代を含め同国最高指導者としては初めて千島列島の国後島を訪問した。同大統領は歯舞、色丹を訪問するとの情報も伝えられている。この間ロシア側は、日本が連合国への降伏文書に署名した9月2日を「第2次大戦終結の日」(事実上の対日戦勝記念日)に制定し、千島は「第2次世界大戦の結果、ロシア連邦の領土になった」とし、その変更は許さないとの姿勢を示してきた。これらの一連の行動は、日本の歴史的領土である千島列島と歯舞、色丹の不当な領有を将来にわたって固定化しようとするものであって、絶対に容認できないものである。
日の日ロ領土問題の根源は、第2次世界大戦終結時におけるスターリンの覇権主義的な領土拡張政策にある。スターリンは、ヤルタ会談でソ連の対日参戦の条件として千島列島の「引き渡し」を要求し、米英もそれを認め、この秘密の取り決めを根拠に、日本の歴史的領土である千島列島(国後、択捉(えとろふ)から、占守(しゅむしゅ)までの全千島列島を併合した。これは「カイロ宣言」などに明記され、自らも認めた「領土不拡大」という戦後処理の大原則を蹂躙するものである。しかもソ連は、千島列島には含まれない北海道の一部である歯舞群島と色丹島まで占領したことはなんとしても容認できないことである。
日ロの領土問題の解決に当たっては、第2次世界大戦終結時に強行された、「領土不拡大」という大原則を破った戦後処理の不公正を正すことこそ、日ロ領土問題解決の根本にすえられなければならない。
尖閣諸島の領有権の問題も、歯舞群島と色丹島及び千島列島の領有問題解決に当たっては、歴史的事実と国際的道理に立った方針を貫き、明確な領有権の主張と平和裏に問題解決をはかるよう強く求める。
以上、地方自治法第99条の規定に基づき、意見書を提出する。
平成22年12月17日
橿原市議会

送付先

衆議院議長 参議院議長 内閣総理大臣 外務大臣 国土交通大臣

リンク先の「決第16号」をご覧ください。

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議事課
奈良県橿原市小房町11-5(かしはら万葉ホール)
電話:0744-47-3521
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