平成19年9月定例会意見書

更新日:2023年03月28日

ページID: 10032

救急救命医療体制の早期確立を求める意見書

去る8月29日橿原市内に住む女性が奈良県立医科大学附属病院を含め、11病院に断られ、最初の通報から約3時間後に大阪府高槻市にある高槻病院に搬送中、救急車内で胎児を死産した。昨年の8月にも分娩中に意識不明に陥った妊婦が19病院に受け入れを断られた末に、死亡するという痛ましい事故があったにもかかわらず、奈良県では、その教訓が生かされておらず、県民の多くは奈良県では安心して子どもを産めないという強い衝撃を受けている。県立奈良病院では年間分娩取り扱いは600を数え、その内6割はハイリスクであることを直視すべきである。
奈良県の救急医療体制として、「救急医療情報システム」のほか、重症妊婦の搬送先の探索に活用する「周産期医療情報システム」があるが、各消防本部に「周産期医療情報システム」を周知していない、「救急医療情報システム」では1日に2回しか更新義務がない、県北部地域と中南和地域の医療機関との情報が共有されていない、「周産期医療情報システム」では、受け入れ態勢が整わない病院が表示されている、かかりつけ医のいないケースでは、このシステムが利用できないなど、システムの不備が明らかとなった。
また、厚生労働省は、1996年度からリスクの高い妊婦の受け入れや高度な新生児医療を行うために、「総合周産期母子医療センター」を全都道府県に最低1ヶ所整備する計画を進め、今年度までに全都道府県で整備を完了するのが目標であったが、奈良県を含む6県では未整備の状態にある。
奈良県では、以前から、奈良県立医科大学で2004年度に「新医師臨床研修制度」が導入され、卒業生の約7割が研修先に県外の医療機関を選ぶようになり県外流失が増えたこと、公立病院に勤務する医師の給与水準が全国平均に比べて極めて低いことなど、医師不足の原因と考えられるいろいろな問題を把握していたにもかかわらず、その対策を講じていなかったことが、今回の事態に繋がった。
奈良県は、「(仮称)原因究明・再発防止対策検討委員会」を設置し、厚生労働省からオブザーバーが派遣されることとなったが、医療現場が当直医師や看護師が慢性的な不足により過酷な労働条件にあることを踏まえ、医療現場、消防本部救急隊、奈良県が一体となって、現場の意見を取り入れ、新しい緊急搬送マニュアルを早急に作成し、橿原市を含む中南和地域はもとより全県民が安心して暮らすことができる救急救命医療体制の早期確立を強く要望する。
以上、地方自治法第99条の規定に基づき、意見書を提出する。
平成19年9月18日
橿原市議会

送付先

奈良県知事

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 「地域安全・安心まちづくり推進法」の早期制定を求める意見書

近年、子どもをはじめ、地域住民を巻き込んだ凶悪事件が頻発化しており、防犯に対する国民の関心は高まっている。「民間交番」の設置など、地域住民が自ら防犯活動を行う防犯ボランティア活動も活発化し、昨年末時点で、地域住民による防犯ボランティア団体は全国で3万1,931団体にも上る。
安全で安心して暮らせる地域社会を築くには、警察の力に加えて住民自らの防犯活動を欠かすことはできない。現在、住民による活動が盛り上がりを見せる中、防犯ボランティア団体の活動を多角的にサポートするための法律制定が強く求められている。
よって、政府におかれては、「犯罪に強いまちづくり」への自発的な取り組みや防犯意識の向上のための活動を、国や自治体が総合的かつ計画的に支援することを責務とする内容を盛り込んだ「地域安全・安心まちづくり推進法」(仮称)を早期に制定し、以下に掲げる施策を積極的に推進されるよう強く要望する。

  1. ボランティアが「民間交番」をつくる際に公有地や建物を貸し出したり、賃貸料補助等の財政支援を行うなど、防犯拠点を整備するための「地域安全安心ステーションモデル事業」を全国2,000カ所へと増やすこと。
  2. 子どもの安全確保へ、スクールガードリーダー(地域学校安全指導員)等の配置を進め、公園、駅など多くの地域住民が利用する場所に子ども用の緊急通報装置の設置を促進すること。
  3. 自治体に防犯担当窓口の設置を促進するなど、地域住民と自治体が地域の安全の為に協力しやすい環境整備を推進すること。

以上、地方自治法第99条の規定に基づき、意見書を提出する。
平成19年9月21日
橿原市議会

送付先

内閣総理大臣 総務大臣 文部科学大臣 国土交通大臣 国家公安委員長

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リンク先の「決第10号」の欄をご覧ください。

 いじめ・不登校対策のための施策を求める意見書

教育現場では、いじめや不登校の問題が深刻である。
いじめの発生件数は、報告されているだけでも小・中・高等学校数全体の約2割に当たる2万件を超え(平成17年度)、各地で深刻ないじめが発生し続けている。いじめを苦にした児童・生徒の自殺が相次いだ昨秋以降、改めていじめ問題に大きな関心が集まり、文部科学省の「子どもを守り育てる体制づくりのための有識者会議」でも議論され、今年春には教師や保護者、地域の大人たちに向けた提言をまとめ、教師向けの「いじめ対策Q&A」も含めて全国に配布された。
一方、不登校は主に小・中学校で深刻化しており、文科省の調査(平成17年度)によれば、小学校で0.32%(317人に1人)、中学校では2.75%(36人に1人、1学級に1人の割合)と、学年が上がるにつれて増加する傾向にある。
いじめや不登校で苦しんでいる子どもたちに、どう手を差し伸べてあげるのか。各地でさまざま試みがなされているが、現場で効果を挙げているものも参考にしながら、具体的な施策を可及的速やかに実施すべきである。
よって、政府におかれては、子どもたちの笑顔と希望があふれる教育環境づくりのために、下記の事項について実現を強く要望する。

  1. 「いじめレスキュー隊」(仮称)の設置の推進
    第三者機関による「いじめレスキュー隊」(仮称)は、子どもや親などからのSOSに瞬時に対応し、まず「いじめられている子」を守り、孤独感、疎外感から解放。その後、学校関係者と、いじめる側、いじめられる側との仲立ちをしつつ、最終的には子ども同士の人間関係、“絆”の回復を図ることを目的とする。
  2. 「ほっとステーション」(仮称)づくり
    NPO法人による不登校のためのフリースクールなどを活用して、地域の中に子どもが安心できる居場所として「ほっとステーション」(仮称)を設置。そこへ通うことを授業出席と認定する仕組みを作る。さらに「ほっとステーション」から学校へと戻れるようにする。
  3. 「メンタルフレンド制度」の実施
    教員志望の学生等を家庭や学校に派遣する「メンタルフレンド制度」は、子どものよき話し相手・相談相手となることで、子どもたちに安心感を与え、子どもたちの人間関係修復にも役立つなど効果を挙げており、同制度を全国で実施するようにする

以上、地方自治法第99条の規定に基づき、意見書を提出する。
平成19年9月21日
橿原市議会

送付先

内閣総理大臣 文部科学大臣 総務大臣

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リンク先の「決第11号」の欄をご覧ください。

 割賦販売法の改正を求める意見書

近時、住宅リフォームや呉服、貴金属など高額商品の次々販売などに係る悪質商法の被害が大きな社会問題となっている。こうした被害は、販売業者が顧客の支払能力を考慮せずにクレジット販売を行えるようになっており、クレジット会社も顧客の支払能力をチェックせずに契約を認めることで発生している。
経済産業省は、これまでにも、割賦購入斡旋業者に対して、加盟店の実態把握・管理の徹底、悪質な販売店の加盟店からの排除等を求める通達を数多く出してきた。これらは、クレジットを利用した消費者被害の未然防止又は拡大防止のため、不適切な販売行為等を行う業者にクレジットを利用させることのないよう出されたものであるが、通達が出された後も、ダンシング事件、アイディック事件、住宅リフォーム事件、呉服次々販売事件等、多数の消費者を被害者とする事件が多発している。
そうした被害対策の一環として、クレジットの過剰与信等による被害の防止が重要であり、そのために割賦販売法を抜本的に改正すべきである。よって、国におかれては、割賦販売法を下記のとおり改正することを強く要望する。

  1. 実効的な過剰与信規制を行うこと。
  2. 販売店とクレジット会社との共同責任(既払い金返還を含む。)を規定すること。
  3. クレジット会社の悪質販売被害防止義務を明記すること。
  4. 指定商品制を廃止し、割賦要件を撤廃すること。
  5. 個品方式(契約書型)クレジットについて開業規制を設けること。

以上、地方自治法第99条の規定に基づき、意見書を提出する。
平成19年9月21日
橿原市議会

送付先

衆議院議長 参議院議長 内閣総理大臣 経済産業大臣

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リンク先の「決第12号」の欄をご覧ください。

この記事に関するお問い合わせ先

議事課
奈良県橿原市小房町11-5(かしはら万葉ホール)
電話:0744-47-3521
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