平成18年6月定例会意見書
「仕事と生活の調和推進基本法」(仮称)の制定を求める意見書
わが国は、ついに人口減少社会に突入した。厚生労働省の人口動態統計によると、昨年11月までの一年間に出生数が死亡数を概数で8340人下回り、人口が年間で初めて自然減となった。
今後、約30年間は15~64歳の生産年齢人口が減少し続けることになる。そうした中で女性の就労率が高まっていくことは確実である。少子社会への対応を考えた時、今後の働き方として、男性も女性も共に、仕事と子育て・介護など家庭生活との両立に困難を感じることがない働き方が可能になるような環境整備、社会システムの構築が非常に重要になってくる。
つまり、働き方や暮らし方を見直して「仕事と生活の調和」を図ること、いわゆるワーク・ライフ・バランスの実現が、これからのわが国にとって重要課題である。ワーク・ライフ・バランスは、働く者にとって望ましいだけでなく、企業にとっても、両立支援の充実している会社が順調に業績を伸ばしている事例が多数あり、就業意欲の高まり、労働生産性の向上などのメリットが少なくない。
厚生労働省の研究会がワーク・ライフ・バランスについてまとめた報告書(平成16年6月)は、「政府には、『仕事と生活の調和』の実現に向けた環境整備に早急に着手することが期待される」としている。ワーク・ライフ・バランスは労働政策に限るものではなく、省庁の枠を超えて総合的に政策が実行できるよう、「仕事と生活の調和推進基本法」(仮称)を制定すべきである。
社会経済情勢の変化に対応した豊かで活力ある社会が実現できるよう、ワーク・ライフ・バランス形成の促進を図るため、同基本法によって政策の基本方向を定め、総合的かつ計画的に施策を実行することを強く要望する。
以上、地方自治法第99条の規定に基づき、意見書を提出する。
平成18年6月23日
橿原市議会
送付先
内閣総理大臣 厚生労働大臣 経済産業大臣
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出資法の上限金利の引き下げ等、「出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律」及び「貸金業の規制等に関する法律」の改正を求める意見書
今日、破産申立件数は、平成14年に20万件を突破して以来、平成15年24万件、平成16年21万件と依然として高水準にある。
これは、消費者金融・クレジット・商工ローン等で多額の債務を負い返済困難に陥った多重債務者や中小零細事業者が主で、リストラ・倒産による失業や収入減・生活苦・低所得などを理由とする「不況型」「生活苦型」自己破産が大半を占めている。
また、警察庁の統計によれば、平成15年度の経済的理由による自殺者は8897人にものぼり、さらにこの多重債務問題が、ホームレス、離婚、配偶者間暴力、児童虐待、犯罪等の被害を引き起こす要因になっているケースも多く、依然として深刻な社会問題である。
多重債務者を生み出す大きな要因の一つに「高金利」があげられる。
現在、出資の受入、預り金及び金利等の取締りに関する法律(以下、「出資法」という)上の、上限金利は年29.2%であり、ほとんどの貸金業者等がこの出資法の上限金利で営業している。
この出資法の上限金利については、平成15年7月、ヤミ金融対策法(貸金業の規制等に関する法律(以下「貸金業規制法」という)及び出資法の一部改正法)制定の際、同法施行後3年を目処に見直すこととされ、その時期は平成19年1月とされている。
現在、わが国の公定歩合は年0.10%、銀行の貸出約定平均金利は年2%以下という超低金利状況下であるにもかかわらず、年29.2%という出資法の上限金利は異常なまでに高金利である。
金融庁広報中央委員会が実施した世論調査によれば貯蓄のない家庭が2割を占める等、いまだ一般市民には生活の豊かさが感じ取れない。年収が200万円、100万円台であったり、多くの人がパート労働・契約社員等で収入の安定が確保できない環境の下にさらされているのが実情である。突発的な資金需要、病気・怪我等により働き手に何かあれば借金せざるを得ず、出資法上の異常なまでの高金利で借入をすれば、誰でも家計が圧迫され返済困難に陥いるのは目に見えている。
リストラ・倒産による失業や収入減等、厳しい経済情勢の中で喘ぐ一般市民が安心して生活できる消費者信用市場の構築と、多重債務問題の抜本的解決のためには、出資法の上限金利を、少なくとも、利息制限法の制限金利まで早急に引き下げることが必要である。
一方、貸金業規制法43条は、債務者が利息制限法の制限を超える利息を「任意に」支払った場合に、貸金業者が法定の契約書面及び受取書面を適切に交付していた場合に限りこれを有効な利息の支払と「みなす」と規定している。
しかし、厳格な条件を満たした場合に認められるとはいえ、この利息制限法の例外を認める、いわゆる「みなし弁済規定」の存在が貸金業者等の利息制限法違反金利(民事上無効)での貸付を助長し多くの多重債務者を生み出しているのである。
また、利息制限法は経済的に弱い立場に置かれた人々を暴利取得から保護することをその立法趣旨とする強行法規であり、その例外として暴利取得を認めるような貸金業規制法43条は、その立法趣旨に反し、また、「資金需要者の利益の保護を図る」という貸金業規制法自体の目的規定とも相容れないものといえる。
従って、貸金業規制法43条はもはやその存在意義を欠くものであり、出資法の上限金利の引き下げに伴い、撤廃すべきである。
同様に、出資法附則に定める日賦貸金業者(日掛け金融)については、その返済手段が多様化している今日において、集金による毎日の返済という形態の必要性が失われていること、また、厳格に要件を守らず違反行為が横行し悪質取立ての温床にもなっていること等から、その存在意義自体を認める必要性はなく日賦貸金業者(日掛け金融)に認められている年54.75%という特例金利は直ちに廃止する必要がある。
また、電話加入権が財産的価値を失くしつつある今日、電話担保金融の特例金利を認める社会的・経済的需要は極めて低く、この年54.75%という特例金利も直ちに廃止すべきである。
よって、橿原市議会は、国会及び政府に対し、「出資の受入、預り金及び金利等の取締に関する法律」及び、「貸金業の規制等に関する法律」を下記のとおり改正することを強く要請する。
記
- 「出資の受入、預り金及び金利等の取締に関する法律」の改正につき
(1)現行法の上限金利を、利息制限法の制限金利まで引き下げること。
(2)現行法における、日賦貸金業者及び電話担保金融に対する特例金利を廃止すること。 - 「貸金業の規制等に関する法律」の改正につき
(1)現行法43条のみなし弁済規定を撤廃すること。
以上、地方自治法第99条の規定に基づき、意見書を提出する。
平成18年6月23日
橿原市議会
送付先
衆議院議長 参議院議長 内閣総理大臣 総務大臣 法務大臣 金融担当大臣
関連リンク
リンク先の「決第7号」の欄をご覧ください。
脳脊髄液減少症の研究・治療等の推進を求める意見書
脳脊髄液減少症は、交通事故、スポーツ障害、落下事故、暴力などによる頭部や全身への強い衝撃によって脳脊髄液が慢性的に漏れ続け、頭痛、首や背中の痛み、腰痛、目まい、吐き気、視力低下、耳鳴り、思考力低下、うつ症状、睡眠障害、極端な全身倦怠感・疲労感等のさまざまな症状が複合的に発現する病気であり、難治性のいわゆる「むち打ち症」の原因として注目されている。
しかし、この病気は、これまで原因が特定されない場合が多く、「怠け病」あるいは「精神的なもの」と判断されたため、患者の肉体的・精神的苦痛はもとより、患者の家族等の苦労もはかり知れなかった。
近年、この病気に対する認識が徐々に広がり、本症の研究に取り組んでいる医師らより新しい診断法・治療法(ブラッドパッチ療法など)の有用性が報告されている。そのような中、医学会においても脳脊髄液減少症に関して本格的な検討を行う機運が生まれつつある。長年苦しんできた患者にとってこのことは大きな光明となっている。
しかしながら、この病気の一般の認知度はまだまだ低く患者数など実態も明らかになっていない。また、全国的にもこの診断・治療を行う医療機関が少ないため、患者・家族等は大変な苦労を強いられている。
よって、国においては、以上の現伏を踏まえ、下記の措置を講じられるよう強く要望する。
記
- 交通事故等の外傷による脳脊髄液漏れ患者(脳脊髄液減少症患者)の実態調査を実施するとともに、患者・家族に対する相談および支援の体制を確立すること。
- 脳脊髄液減少症についてさらに研究を推進するとともに、診断法ならびにブラッドパッチ療法を含む治療法を早期に確立すること。
- 脳脊髄液減少症の治療法の確立後、ブラッドパッチ療法等の新しい治療法に対して早期に保険を適用すること。
以上、地方自治法第99条の規定に基づき、意見書を提出する。
平成18年6月23日
橿原市議会
送付先
衆議院議長 参議院議長 内閣総理大臣 総務大臣 文部科学大臣 厚生労働大臣
関連リンク
リンク先の「決第12号」の欄をご覧ください。
この記事に関するお問い合わせ先
議事課
奈良県橿原市小房町11-5(かしはら万葉ホール)
電話:0744-47-3521
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更新日:2023年03月28日