平成16年9月定例会意見書

更新日:2023年03月28日

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人身売買禁止のための法制化を求める意見書

ヤクザなどの犯罪組織によって海外から日本に送り込まれ、性産業で強制的に働かされている外国人女性が増えている。売春や強制労働等による搾取の目的で外国人女性や子どもを勧誘・送り出し・受け入れを行う行為を「人身売買(人身取引)」というが、日本の対策の遅れに国際的な批判が高まっている。
米国務省が今年6月に発表した「人身売買に関する年次報告書」では、日本を今後1年間に必要な措置を取るかどうか見極める必要がある「第2分類監視対象国」に指定した。主要8カ国の中で監視対象国とされたのは日本とロシアだけで、少なからず国内に波紋を広げたが、昨年7月には国連女性差別撤廃委員会から「人身売買に対する包括的戦略の必要性・加害者の処罰強化」が勧告されるなど、日本は人身売買の主要受入国として国際社会から見られている。
橿原市の市民憲章の精神(人権を尊び、お互いを思いやり、一人ひとりのしあわせを願いましょう。)においても、この様な状況を見過ごすわけにはいかない。
政府は2000年に採択された国連の「人身売買禁止議定書」の批准に向けて国内法の整備に取り組んでいるが、日本には人身売買という行為を規定し、禁止する法律がない。アジア、東欧、中南米から来日した女性たちが莫大な借金を負わされて風俗産業で働かされ、人身売買ブローカーや暴力団の暴利の犠牲になっている現状を打破するため、加害者に対する罰則強化を明記し、人身売買の禁止・被害者の人権救済・保護・支援を実施するための法制化を早急に国及び政府に求める。

  1. 人身売買は被害者の尊厳と価値を著しく侵害する行為であり、人身売買が犯罪であることを法に明記すること。
  2. 被害者の救済・保護・援助について、国は必要な法律整備をすること。
  3. 国は人身売買の実態についての調査研究、学校教育、社会教育、メディア等を通じての人権教育・啓発・情報提供等を積極的に行い、被害の予防を図ること。
  4. 政府は諸外国と連携を強化し、人身売買防止を推進すること。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成16年9月24日
橿原市議会

送付先

衆議院議長 参議院議長 内閣総理大臣 法務大臣 厚生労働大臣

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地方分権推進のための「国庫補助負担金改革案」の実現を求める意見書

平成16年度における国の予算編成は、「三位一体の改革」の名の下に、本来あるべき国・地方を通ずる構造改革とは異なり、国の財政健全化方策に特化されたものと受け取らざるを得ず、著しく地方の信頼関係を損ねる結果となった。
こうした中、政府においては、去る6月4日に「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2004」が閣議決定され、「三位一体の改革」に関連して、概ね3兆円規模の税源移譲を前提として、地方公共団体からの具体的な国庫補助負担金改革を取りまとめることが要請されたところである。
地方六団体は、この要請に対し、去る8月24日に、国と地方公共団体の信頼関係を確保するための一定条件を下に、地方分権の理念に基づく行財政改革を進めるため、税源移譲や地方交付税のあり方、国による関与・規制の見直しに関する具体例を含む「国庫補助負担金等に関する改革案」を政府に提出したところである。
よって、国においては、三位一体の改革の全体像を早期に明示するとともに、地方六団体が取りまとめた今回の改革案と我々地方公共団体の思いを真摯に受止められ、以下の前提条件を十分踏まえ、その早期実現を強く求めるものである。

  1. 国と地方の協議機関の設置
    地方の意見が確実に反映することを担保とするため、国と地方六団体との協議機関を設置することをこの改革の前提条件とする。
  2. 税源移譲との一体的実施
    今回の国庫補助負担金改革のみを優先させることなく、これに伴う税源移譲、地方交付税措置を一体的、同時に実施すること。
  3. 確実な税源移譲
    今回の国庫補助負担金改革は、確実に税源移譲が担保される改革とすること。
  4. 地方交付税による確実な財政措置
    税源移譲額が国庫補助負担金廃止に伴い財源措置すべき額に満たない地方公共団体については、地方交付税により確実な財源措置を行うこと。
    また、地方交付税の財源調整、財源保障の両機能を強化するとともに、地方財政全体及び個々の
    地方公共団体に係る地方交付税の所要額を必ず確保すること。
  5. 施設整備事業に対する財政措置
    廃棄物処理施設、社会福祉施設等は、臨時的かつ巨額の財政負担となる事業であることから、各地方公共団体の財政規模も考慮しつつ、地方債と地方交付税措置の組合せにより万全の財政措置を講じること。
  6. 負担転嫁の排除
    税源移譲を伴わない国庫補助負担金の廃止、生活保護費負担金等の補助負担率の切下げ、単なる地方交付税の削減等、地方への一方的な負担転嫁は絶対に認められないこと。
  7. 新たな類似補助金の創設禁止
    国庫補助負担金改革の意義を損ねる類似の目的・内容を有する新たな国庫補助負担金等の創設は認められないものであること。
  8. 地方財政計画作成に当たっての地方公共団体の意見の反映
    地方財政対策、地方財政計画の作成に当たっては、的確かつ迅速に必要な情報提供を行うととも
    に、地方公共団体の意見を反映させる場を設けること。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成16年9月24日
橿原市議会

送付先

衆議院議長 参議院議長 内閣総理大臣 総務大臣 財務大臣 文部科学大臣
厚生労働大臣 農林水産大臣 経済産業大臣 国土交通大臣 内閣官房長官
経済財政・郵便民営化担当大臣 経済財政諮問会議

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郵政事業の民営化に対する検討を求める意見書

郵政事業は、全国に展開された郵便局ネットワーク(約24,700局)を通じ国民生活にもっとも身近な国営の機関として、国民に広く公平なサービスを提供している。全国均一の料金で利用できる郵便をはじめ、郵便貯金の預払い、年金の受け取り、国庫金の受け払い、簡単な送金、更には簡易保険の取扱いなど、ひとつの郵便局で無駄なく効率よく利用でき、都市部と地方とのサービスの格差もなく、橿原市民だけでなく国民にとってこれからもなくてはならない存在である。
本市にあっては、郵便局において住民票・戸籍の交付申請書の取扱いも行われているほか、全国的に地域住民の交流の場としても活用され、国民生活の安定と福祉の増進に寄与している。
競争原理に基づいた郵政事業の民営化が行われ、収益向上の採算性を重視すれば、都市部・地方を問わず不採算地域においては、郵便局の廃止や各種料金値上げも想定され、ユニバーサルサービスの継続的な維持が困難になるなど、地域住民の生活に大きく影響することになる。またドイツ民営化のように、都市部の郵便局の削減も考えられ、離島・僻地など地方の不採算地域を都市部の収益で補っており、都市部の郵便局削減は地方の切り捨てにつながるものである。
また社会資本整備の財源には、郵便貯金・簡易保険の資金を原資として国家財政に今後も貢献できるものである。
これらの理由により、郵政事業は三事業一体の国営による郵政公社として堅持することを強く要望する。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成16年9月24日
橿原市議会

送付先

衆議院議長 参議院議長 内閣総理大臣 総務大臣 財務大臣
経済財政・郵政民営化担当大臣

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消費者保護法制等の整備を求める意見書

先の通常国会(第159回国会)において、改正消費者基本法が成立した。この法律は、成立以来36年ぶりの大改正となるもので、消費者問題が多様化、複雑化する中で、消費者が真の主役となり、適切な意思決定を行えるような環境を整備する必要がある。その意味で、「消費者の権利」の確立を柱とした消費者基本法が成立し、施行される意義は極めて大きいと言わざるを得ない。
また、国民生活審議会の消費者部会は、制度の具体像に関する有識者による検討委員会を本年5月24日に立ち上げ、年内の報告書とりまとめを目指して論議が進められている。
特に、欠陥商品や悪徳商法等の被害などについて、不特定多数の消費者に代わって一定の消費団体が損害賠償等を求める消費者団体訴訟制度は、消費者の権利を守る重要な手段として、ドイツで制度化・普及し、EU(欧州連合)加盟国や、タイ、インドなどアジア諸国へも広まっている。規制緩和の進む我が国においても、明確なルールの下での自由な経済活動を保障しつつ、各種の係争の司法的解決をめざす「事後チェック型社会」へと移行していく中で、消費者団体訴訟制度の必要性が指摘されている。
さらに、橿原市の消費生活相談にも多くの相談が寄せられる中、政府においては、市民・国民の消費者の視点に立ち、以下の消費者保護法制等の整備を早期実現することを強く要望する。

  1. 改正消費者基本法を踏まえ、消費者団体訴訟制度の早期導入を図ること。
  2. 国民生活センター等の機能強化及び電話相談のダイヤル一元化等を推進し、関連する制度・施策の確立を急ぐこと。
  3. 近年の架空請求・不当トラブルが社会問題化している現状から、携帯電話・預金口座の不正利用防止策をはじめ、その対応に関係省庁が一体となって早急に取り組むこと。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成16年9月24日
橿原市議会

送付先

衆議院議長 参議院議長 内閣総理大臣

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義務教育費国庫負担制度の堅持を求める意見書

全国知事会をはじめとした地方6団体は8月24日、2005年、06年度で3兆円余りになる国庫補助負担金の削減案を政府に提出した。小中学校教職員の給与の半額を国が負担する義務教育費国庫負金については、中学校教職員給与費の8500億円の一般財源化を盛り込み、2009年度までに小学校教職員給与費も廃止し一般財源化するとしている。地方税財政の「三位一体改革」を掲げる小泉内閣は、2006年までに国庫補助負担金約4兆円を廃止・縮減し、削減額の約8割を地方へ税源移譲するとしているが、あとの2割は地方への新たな負担となる。とくに義務教育費国庫負担制度については、制度そのものが廃止され一般財源化が行われれば、奈良県のような財政規模の自治体では新たな財源負担から現在の教育条件が大きく後退し、40人学級の維持さえも困難になることも危惧されている。
義務教育費国庫負担制度が法令で国に支出を義務付けているものであり、教育基本法第3条に規定された教育の機会均等を具体化した施策である。
義務教育は、国民として必要な基礎的学力を養うものであり、全国どこでも一定水準の教育内容を確保することは国の重要な責務であり、義務教育費国庫負担制度はその財政的裏付けを担ってきたものであることから、この制度の根幹は今後とも堅持すべきである。したがって、国庫補助負担金の削減という単に財政的な視点からの見直しを進めるべきではなく、教育に必要な財源やその総額を確保する仕組みとして今後も維持されるべきである。
よって、橿原市においても義務教育の水準確保という制度の根幹を保持するために、次の事項を要望する。

  1. 憲法と教育基本法に明記された教育の機会均等の原則を守り、すべての子どもたちにゆきとどいた教育を保障するために、義務教育費国庫負担制度を堅持すること。
  2. 事務職員、学校栄養職員を引き続き義務教育費国庫負担制度の対象とすること。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成16年9月24日
橿原市議会

送付先

衆議院議長 参議院議長 内閣総理大臣 総務大臣 文部科学大臣

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リンク先の「決第7号」の欄をご覧ください。

社会資本の整備を進める真の「三位一体の改革」を求める決議

本市は、ゆとりある国土や特色ある歴史文化、豊かな自然に恵まれ、将来性が大いに期待される地域であるが、治水・防災対策や京奈和自動車道に代表される高速交通体系などの社会資本整備の遅れから、その能力を充分に発揮できないまま今日を迎えている。
加えて、この数年、国の経済低迷を背景に、公共事業関係予算が大きく縮減され、特に、平成16年度予算は「三位一体の改革」の初年度として、公共事業に関わる国庫補助負担金が大幅に縮減されるとともに、地方交付税が大幅に削減されるなど、地方の社会資本整備は停滞を余儀なくされている。
「三位一体の改革」の全体像の提示を目前に、地方六団体においては、国庫補助負担金改革について統一した具体案を取りまとめ政府に提出したところであるが、国庫補助負担金改革は、税源移譲に結びつき、地方の裁量度を高め、自主性を大幅に拡大する改革となるよう、本来の趣旨に沿って進められるべきものである。
これらに鑑み、国土の均衡ある発展を図る上で欠くことができない社会資本整備に関しては、以下の点を充分に考慮するよう望むものである。

  1. 治水事業、道路事業等の社会資本整備において、事業効果を高めるためには事業箇所の選択による集中投資が有効であり、このことから、年度により必要となる事業費が大きく変動することが避けられない。また、地域間格差の解消の点からも国による適切な事業費配分が必要であることなどから、これらの社会資本整備に関する国庫補助負担金制度の下で、所要額を確保すること。
  2. 個性豊かで活力ある地域づくりに道路整備は不可欠であり、国と地方が適切な役割分担のもと必要な道路整備を着実に進めていく上で、道路関係の補助金及び交付金はきわめて有用である。
    さらに、緊急かつ計画的に道路整備を進める上で、道路特定財源制度の果たしている役割は重要であることなどを鑑み、これを堅持するとともに、地方道路財源の充実を図ること。
  3. 地方六団体が提出した「国庫補助負担金等に関する改革案」では、道路特定財源関係補助金等について、第一期及び第二期を通じて、別枠として、廃止・地方譲与税化を検討とあるが、このことについては、今後の地方行政の支障とならないよう現行制度の堅持を図ること。
  4. 災害から国民の生命と財産を守る治水対策は、活力ある経済社会と安全で安心な生活環境を実現するため、停滞することが許されない、国としての基本的な責務であることから、国民が等しく安全を享受できるよう、計画的に災害予防対策を講じるとともに、各地で頻発する災害に対し、機動的・集中的に対応するため、治水関係事業を廃止対象からはずし、国庫補助負担金制度の堅持を図ること。
  5. 地方の自由度の拡大とより一層の重点支援が可能となる方向での補助金・交付金改革に積極的
    に取り組むこと。
  6. 補助金・交付金改革に当たっては、地方の意見に、充分耳を傾けること。

以上、決議する。
平成16年9月24日
橿原市議会

送付先

衆議院議長 参議院議長 内閣総理大臣 総務大臣 国土交通大臣 内閣官房長官
経済財政・郵政民営化担当大臣

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リンク先の「決第8号」の欄をご覧ください。

この記事に関するお問い合わせ先

議事課
奈良県橿原市小房町11-5(かしはら万葉ホール)
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