スタッフのつぶやき
昆虫館のスタッフから、ちょっとした小話をお届けします。
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スタッフのつぶやき
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カルガモにびっくり(令和2年5月3日)
写真の右の鳥がカルガモです。左はコガモです。
みなさんはカルガモという鳥を知っていますか?カモの多くが日本には冬だけにいるのに対し、カルガモは1年中日本にいるため目にすることが多いかもしれません。春から初夏には母ガモに連れられたたくさんのかわいいひながマスコミにもよく取り上げられています。
橿原市が出している広報誌「広報かしはら」では毎号、昆虫館のスタッフが書いた橿原市に生息している生き物を紹介している記事があるのですが、令和2年5月号ではカルガモを取り上げました。その原稿を書くためにカルガモについて調べたところ、とある図鑑に何とカルガモの名前が軽池(かるのいけ)に由来するとの記述が。軽池とは万葉集などに出てくる池で、一説にはどうやら軽池によくいたカモだからカルガモと呼ばれるようになったようです。軽池とは現在の橿原市大軽町付近にあったとされる池で、同じ池かどうかはわかりませんが今でも大軽池というため池があります。
広報かしはらの記事ではこのことをあっさり書いていますが、実は記事を書いた私はとてもびっくりしていました。まさかこんな有名な鳥の名前の由来が橿原市にあったなんて。これはもうカルガモに橿原市のシンボル鳥になってもらうしかない!との野望を抱き一人ほくそ笑んでいたのですが、よく考えたら橿原市には神武東征伝説に由来し、橿原市の市章の元にもなっているトビ(金鵄)がいることを思い出し、あえなく野望はついえたのでした。
でもみなさん、カルガモを見たら橿原市を思い出してくださいね!
広報かしはらの記事は検索サイトで「広報かしはら」と検索していただくと見ることができます。令和2年5月号の30ページに載っています。【T】
長年の疑問が解消!(令和3年2月15日)
ただいま開催中の企画展「いくつ知ってる?奈良の虫100」(令和3年3月14日まで)では、さまざまな大きさの大あごを持つノコギリクワガタの標本を並べて展示しています(写真は一番右だけメスで、他はすべてオスです)。このノコギリクワガタ、大あごの大きい個体に関してはいくつか地方名が知られていて、橿原市周辺では大あごの形から「すいぎゅう(水牛)」と呼ばれていたのをよく聞きました。ところが私は子どものころ、大あごが大きいオスのことを「てんぎ」と呼んでいました。当時クワガタを一緒に取りに行っていた子どもたちのグループのリーダー格のお兄ちゃんがそう呼んでいたからです。写真ではだいたい左から1~5匹目までの大きさの標本が「てんぎ」です。6~10匹の標本の個体は「のっこん」と呼んでいました。
ところがこの「てんぎ」という名前の由来が長らく分からず、他でも聞いたことがなかったので私の長年の疑問となっていました。今回の企画展が開催されるにあたり、改めて疑問に思い他の学芸員にも話してみたところ、「てんぎ」という名前を聞いたという人はいなかったものの、ある一人の学芸員が「もしかしてそれ、てんぎゅう(天牛)じゃない?」との意見が。天牛は一般的にはカミキリムシのことですが、どうもノコギリクワガタのことも「てんぎゅう」と呼ばれていたのをどこかで聞いたことがある気がするというのです。「てんぎ」と「てんぎゅう」なら音が近く、可能性が高そうです。長年の疑問がやっと解決したような気分になりました。
最近では図鑑も素晴らしいものがたくさんできていますし、インターネットでいろいろな情報も入ることから名前が全国的に統一され、地方名を聞くことはすっかり少なくなってきました。クワガタムシのことを「ゲンジ(源氏)」と呼ぶ子どもさんも見かけません。名前が統一されることは生物学上のメリットは大きいのですが、少し寂しく感じてしまうこの頃でもあります。
企画展では他にもいろいろな身近に見られる昆虫を展示しています。一定以上の年齢の人ならばきっと図鑑に載っている名前(そして展示している名前)と違う呼び方をしていた人もいるのではないでしょうか?【T】
この記事に関するお問い合わせ先
昆虫館
奈良県橿原市南山町624
電話:0744-24-7246
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更新日:2024年02月10日