温室の美女たち(1~15)
温室を彩る花たちを紹介します。
温室の美女たち
15.大輪の南国美女 ハイビスカス(アオイ科)
ハイビスカスとはアオイ科フヨウ属の属名のことです。この仲間は花が美しく大変人気があり、数千の園芸品種があります。一般的に、数メートルに成長する熱帯性の低木で、屋外では夏に開花しますが、館の温室では一年を通して花を付けます。大きな赤やピンクの花が鮮やかで、アゲハチョウやツマベニチョウが好んで蜜を吸いにやって来ます。
原産地は熱帯。生育適温は15~25度、橿原では冬は室内に入れないと枯れてしまう。
14.細長ーく咲く美女 チリメンナガボソウ(クマツヅラ科)
漢字で書くと、「縮緬長穂草」。葉の表面にしわが多いことから織物の縮緬(りちめん)に見立てています。長さ15~50センチメートルの花穂が立ち上がり、下から数個ずつ紫色の花が咲いていくのは、日本の草には見慣れない雰囲気かもしれません(私はそう思います…)。
温室では、チョウがよく蜜を吸いに来るので蜜源として栽培しています。
南アメリカ原産の多年草。
沖縄では帰化しており、道端や荒れ地に見られる。
13.星の花の美女 ペンタス(和名:クササンタンカ)(アカネ科)
名前のペンタは5を意味し、花びらが5つに分れた花を付けます。色は白、ピンク、赤があります。花の印象は派手ではありませんが、オオゴマダラなどがよく蜜を吸いに訪れます。
暑さや湿気には強い半面、寒さには弱いです。多年草ですが、橿原周辺では冬に屋外に置きっぱなしだと枯れてしまいます。
マダガスカル、熱帯アフリカ原産。
暑いほど元気。
12.ひらひら小さなチョウのような美女 オンジジューム(ラン科)
中南米の熱帯・亜熱帯地域に約400種分布し、多くは木に着生しています。花色は黄色が多く、他にはピンクやオレンジ色があります。小型のものが有名ですが、花が大きい物や香りのよいものなど様々です。花の寿命も長く、温室内では小さなチョウが集まっているような黄色い花がよく目立ちます。
日光を好みますが強い直射日光は苦手です。夏に水を切らさないように注意します。
名前はギリシャ語のオンキディオン(小さなこぶ)にちなむそう。
花びらの一部に突起がある。
11.色の変化自在!な美女 ランタナ(和名:シチヘンゲ)(クマツヅラ科)
小さな花が集まった花序をつけ、つぼみは四角で、外側から内側へ咲いていきます。
和名が示すように(七変化)、この花はつぼみから咲き終わりまでに花の色を変え、花が開くにつれて、黄色から赤、白からピンクなどに変化します。温室では年間を通して開花します。乾燥には強いですが、葉はしおれやすいので夏場の水やりには要注意。冬は刈り込み、霜にあてないようにします。
中南米原産の常緑低木。
挿し木で比較的簡単に増やせる。
10.丸い毬のような美女 サンタンカ(アカネ科)
小さな花がたくさん集まった毬のような集合花が枝の先端に付きます。花の色はオレンジや赤色のものが多いですが、園芸品種の中には白や黄色のものもあります。
中国南部とマレーシアが原産の常緑低木。枝のどの部分でも比較的容易に挿し木が可能で、温室の密源としてたくさん栽培しています。
日本には江戸時代に渡来。山丹花(サンタンカ)と書かれる。
9.花色豊富、色とりどり!な美女 カランコエ(和名:ベニベンケイ)(ベンケイソウ科)
冬によく咲く花として見かけるこの美女、カランコエです。
花の色は多様で、放蝶温室に置いてあるものを挙げてみても、赤・濃いピンク・薄いピンク・橙・黄と、色とりどりです。乾燥に強く、挿し木で簡単に増え、管理もしやすい花です。日の長さが短くなることを感じて花を付ける「短日植物」ゆえに、冬の時期に花を咲かせます。
現在よく栽培されるものはマダガスカル、熱帯アフリカ原産のもの。
8.香りがご自慢の美女 ヘリオトロープ(和名:キダチルリソウ)(ムラサキ科)
この小さな紫色の花が固まって咲いているのを見たら、是非、匂いをかいでみてください。
バニラの香りと表現される、甘い香りがするはずです。日本では別名「ニオイムラサキ」、フランスでは「恋の花」とも呼ばれ、実際に香水の原料に使用されていました。
この花、小さいですが常緑の木本です(つまり草でなく木)。チョウの蜜源としてだけでなく、マダラチョウの仲間が生きて行くくうえで必要なピロリジジン・アルカロイドを供給する植物として温室に置いています。
ペルー、エクアドル原産。
夏目漱石著「三四郎」にヘリオトロープの香水が登場する。
7.異国情緒漂わせる美女 ストレリチア(和名:ゴクラクチョウカ)(ゴクラクチョウカ科)
尾羽が美しいゴクラクチョウ(鳥)に似ている、極楽に遊ぶ鳥のようだ、と名付けられたこの花は、実に鮮やか。
花の雰囲気から、南国・熱帯の生まれかな?と思うかもしれません。しかし、本当の原産地は温帯(亜熱帯)の南アフリカ共和国。そのため案外寒さには強く、5度ほどあれば冬越し可能だそうです。
鳥の頭に見立てられたオレンジの部分はがく、紫色のものが花びらです。造園用のほか、生け花の花材としても人気があります。
18世紀に世界中を巡り、珍しい植物を探していた
「プラント・ハンター」の一人、マッソンによって英国に持ち帰られる。日本には明治時代に渡来。
6.キチョウに好かれる黄色い花の美女 モクセンナ(マメ科)
黄色い花が美しいモクセンナ。5枚の黄色い花びらを持つ花が、10個ほど固まって咲きます。
高さ3~5メートルになる常緑樹で、青々と葉が茂った様子も綺麗です。
このモクセンナ、花色に負けない黄色の羽をもつ「キチョウ」の食草でもあります。温室内でキチョウが大繁殖した時には、葉っぱを食べつくされ丸裸になることも…。
マレー半島からジャワ島、スマトラ島原産。
沖縄では街路樹や庭木として植えられる。
昆虫館では9~12月にかけて花が咲く。
(Y)
5.不思議な顔色の美女 タッカ・シャントリエリ(タシロイモ科)
とても珍しい色・形の花付けるこの美女、英名ではブラックキャット(黒猫)、キャッツホイスカーズ(猫のヒゲ)、バットフラワー(コウモリの花)などと言われます。なるほど、雰囲気が出ていますね。
猫(コウモリ?)の顔のように言われる部分は花ではなく、苞(ほう、葉の一種)と言われるもので、その中にある小さな花が本当の花です。たくさんのヒゲもあって、なんとも珍妙な…。でもそれが面白く、咲いているとついつい写真を撮ってしまう、そんな魅力があります。
和名はクロバナタシロイモ。
インドシナからマレー半島原産の多年草。
現地では地下茎や若い茎が食用になるそう。
(Y)
4.豪華貫禄の美女 コチョウラン(ラン科)
肉厚で大きな花が連なった様子は実に豪華です。放蝶温室を訪れ、「チョウ」よりも「コチョウ」ランの方に目がいく!という方もいらっしゃるかもしれません。
温室では、一年を通して様々な種類のランを咲かせるよう花の管理を行っています。ぜひ、美しく咲くランを見においでください。
学名ファレノプシスとは、ラテン語で『蛾のような』という意味。原産地はインドから中国南部、台湾、東南アジアからオーストラリア北部にまで至る。
(Y)
3.ふわふわ長いしっぽの美女 ベニヒモノキ(トウダイグサ科)
温室の中で垂れ下がる、赤くて長いひも。その名もベニヒモノキ!が温室の上段でたくさん咲いています。このひもに例えられる部分は花の穂で、長さは20センチメートルくらいから、長いものでは50センチメートルにもなります。そのふわふわ具合を見ていると本当にしっぽみたい…。
インド・マレーシア原産の常緑低木。昆虫館の温室では夏の期間中、花を楽しむことができます。
(Y)
2.長いおしべの鮮やか美女 オウゴチョウ(マメ科)
オウゴチョウはチョウ?いえいえ、蝶ではなく、西インド諸島原産のマメ科の木です。
色鮮やかな花が枝の先に付き、赤くて長いおしべが花から突き出しています。
花は下から上へ順に咲いていき、花が咲き終わるとマメができます。
今、次々に花を咲かせているオウゴチョウ。
シロオビアゲハがこの花の蜜を好きなようで、あちこち飛び回っては、蜜を吸っていく様子がよく見られます。
1.トゲある熱帯の美女 ブーゲンビレア(オシロイバナ科)
現在、温室ではブーゲンビレアが美しく色づいています。
ブーゲンビレアは花がとても華やかで、世界中で人気の熱帯性のつる植物です。しかし、花びらに見えるのは苞葉(ほうよう)という葉っぱの一種で、花はその中にある筒状の部分です。
カラフルな苞葉(ほうよう)は花粉を運んでくれる昆虫や鳥を引き寄せるのに、とても重要な役割を果たします。
温室ではブーゲンビレアでアーチを作っています。
どうぞ色鮮やかなアーチをお楽しみください。
ただしツルにはトゲがあるので気を付けてくださいね!
この記事に関するお問い合わせ先
昆虫館
奈良県橿原市南山町624
電話:0744-24-7246
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更新日:2023年03月28日