温室の美女たち

更新日:2023年03月28日

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温室を彩る花たちを紹介します。

温室の美女たち

温室を彩る花たちを紹介します(16~30)。 1~15は下記のリンクをご覧ください。

30.すぐしおれちゃうけどめずらしい花イポメア(ヒルガオ科)

青い葉に白い花びらと紫色の軸のイポメアの写真

イポメアと聞いて何の花かすぐ想像できる人はかなりの植物マニア。サツマイモのことです。アサガオと同じくヒルガオ科ですので花もアサガオのような形です。温室に植えられているのはイモをとるためではなく、食用の品種より色が薄い黄緑色の葉を観賞するための品種で、食用のサツマイモと見分けるためにイポメアと呼ばれます。花が咲くことは少ないうえ、朝に咲く花はすぐにしおれてしまうのでなかなか目にする機会の少ない花です。中南米原産。

29.葉っぱがメインだけどたまに花も咲くサンセベリア(キジカクシ科)

黄色に縁取られている緑色の長い葉がいくつも生えているサンセベリアの写真

先がとがった長い葉っぱがニョキニョキ生えているのが特徴です。葉っぱのへりが薄黄色に縁取られた園芸品種の方がよく見かけますが、野生のものにはこの縁取りはありません。普通は葉を鑑賞する植物ですが、温室で育てていると時々白くかわいい花を咲かせてマダラチョウの仲間が吸密している姿を見かけます。縁取りのある株を増やすときは株分けしますが、野生に近い色の株を得たいときは葉っぱを5センチメートルくらいに切って土に挿しておくと脇から縁取りの無い葉っぱが出てきます。アフリカ原産。

28.蜜というよりは食草として重要なトウワタ(ガガイモ科)

緑色の葉と赤と黄色の花を咲かせているトウワタの写真

小さなが花がいくつか集まった形をしています。花の蜜はマダラチョウの仲間が好きですが、カバマダラやツマムラサキマダラの幼虫の食草となり、むしろこちらの役割の方が重要です。花は結構キレイなのですが、幼虫は葉っぱよりも花の方が好きなようで、花が咲いていると真っ先にかじってしまうため、株に幼虫がいるとすぐに花がなくなってしまいます。またキョウチクトウアブラムシがたくさんつきやすいため、栽培にも少し苦労します。トウワタ(唐綿)の名前は、種が綿毛になることに由来します。
 南アメリカ原産。

27.小さいけどチョウに人気のクフェア(ミソハギ科)

葉が密集している中、いくつもの白い花を咲かせているクフェアの写真
緑色の葉が連なる茎の先端で赤紫色の花を咲かせているクフェアの写真

小さな花ですが、たくさん咲くせいかチョウたちには人気の花で、特にキチョウなどは大好きのようです。品種によって紫だったり白だったりします。メキシコ原産。

26.花びらのようで花びらでないスパティフィラム(サトイモ科)

何本ものスパティフィラムの鉢植えに白い葉が包むように房状の花を囲んでいる様子を撮影した写真

和名はササウチワですが、普通はスパティフィラムと呼ばれています。白い花びらのような部分は「仏炎苞(ぶつえんよう)」といって、真ん中にある棒状の花を目立たせるために、葉っぱが白くなったものです。花が咲いている時期が長く、濃い緑の葉っぱと白い仏炎苞のコントラストが美しいため温室の中にいろどりを添えています。花が古くなると仏炎苞は緑色になってきます。熱帯アメリカ原産。

25.意外にもきれいな花が咲くシャコバサボテン(サボテン科)

ツマベニチョウが赤い花の蜜を吸いに来ている様子を撮影したシャコバサボテンの写真

小型のサボテンですが、冬になると蜜をたくさん出す美しい花を咲かせるため、花の少ない冬場のチョウのエサとしてとても重要です。とくにツマベニチョウはこの花が大好きです。ブラジル原産。

24.小さな花の集まったヒヨドリバナ(キク科)

2匹のマダラチョウが白い花の蜜を吸っている様子を撮影したヒヨドリバナの写真

日本の野山にもはえていて、本来1メートルくらいの高さになるのですが、昆虫館では花をたくさん咲かせるためにくりかえし剪定するため、数十センチの高さにしかなりません。蜜にマダラチョウの仲間が生きていくのに必要なピロリジジン・アルカロイドをふくんでいるため、温室にたくさん入れています。目立つ花ではありませんが、新しい花を温室に入れると、すぐにマダラチョウの仲間がたくさんやってきます。本来は夏から秋にかけて咲きますが、昆虫館では栽培を工夫することにより暖かい時期にいつでも花があるようにしています。花は白もしくは少しピンクがかったものもあります。

23.ほあほあなユーパトリウム(キク科)

紫色で綿のような花を咲かせているユーパトリウムの写真

メキシコ原産の草本で冬にのみ咲きます。昆虫館の温室を飛んでいるマダラチョウの仲間は、生きていくうえで特定の植物が出すピロリジジン・アルカロイド(PA)という特殊な物質が必要です。暖かい時期はPAを蜜に含むヒヨドリバナという草の花を温室に入れているのですが、冬になると咲かなくなってしまいます。そこで冬になるとこのユーパトリウム(Eupatoriumu megalophyllum)を使うのです。ちなみにヒヨドリバナもユーパトリウムの仲間で、学名で書くとEupatoriumu makinoiとなります。

22.蜜を吸いやすそう?な美女 ヒメノウゼンカズラ(ノウゼンカズラ科)

オレンジ色の花をたくさん咲かせているヒメノウゼンカズラの写真

常緑の半つる性植物です。花は漏斗型(ろうとがた)で、複数の花がかたまって付きます。花は春から秋にかけて咲き、特に夏には橙色が美しいです。花から雄しべとめしべが飛び出していて、花は身を乗り出しているようにも見えます。園芸品種で花が黄色ものがあり、それは学名からとってアウレアと呼ばれます。南アフリカ原産。

21.つやつやハートの美女 アンスリウム(サトイモ科)

この花は熱帯アメリカが故郷で、世界で約500種ほどが栽培されています。
ハート型の仏炎苞(ぶつえんほう:花の下にある葉由来の部分)が可愛く、色鮮やかで光沢のある苞から花が付き出している様子はとても印象的です。

赤い葉の部分から房状の花を咲かせている2輪のアンスリウムの写真

この苞は赤・ピンク・白・緑など様々な色があり、園芸用や切り花として人気があります。館では赤とピンクのものがあります。

コロンビア原産。
別名オオベニウチワ。

20.白・赤・両方!な美女 ゲンペイカズラ(クマツヅラ科)

本来は他の植物に巻き付いて登っていく、つる性の常緑植物です。写真で花のように見える白い部分はがくで、その中の真っ赤なものが花びらです。白と赤の色から、源氏(白)と平氏(赤)を思い浮かべ、この名前が付けられました。

真っ白なガクの中心で真っ赤に咲いているゲンペイカズラの花の写真

花から長く飛び出しているものは雄しべです。花が終わった後はがくだけが残り、それが紫色に変色するため、別の花が咲いているように見えます。
熱帯アフリカ西部原産。日当たりを好む、冬は屋内に。

19.顔の大きな美女 オオパイプカズラ(アリストロキア・ギガンティア)(ウマノスズクサ科)

たくさんの葉の中から咲いている巨大な紫色の花のオオパイプカズラの写真

垂れ下がった暗紫色の大きな花に、ぎょっとするかもしれません。花は直径20センチメートルにもなり、筒形で先は広がり、まさにパイプ。気持ち悪い?不思議?なこの花はウマノスズクサの仲間で、常緑のつる植物です。
館の温室にはウマノスズクサを食草とするジャコウアゲハがいて、このオオパイプカズラにも卵を産みます。しかし、幼虫はこの葉を食べないので、卵はすぐ回収します。
ブラジル原産、日本には明治時代にやってきたそう。

18.波うつ花びら フリルの美女 タイワンレンギョウ(デュランタ)(クマツヅラ科)

長く伸びた枝先に小さな紫の花が複数個付き、フリルのリボンが付いているような印象を受けます。木の高さは本来なら4メートルほどになりますが、昆虫館では鉢植えにして剪定しているため、1.5メートルほどです。昆虫館には白い花のものあり、花後には小さな黄橙色の実が付きます。この花には、リュウキュウアサギマダラがよく吸蜜に訪れます。最近、デュランタという名前で園芸屋さんでよく見かけるようになりました。

緑色の茎の先で花が紫色に咲いているタイワンレンギョウの写真

原産地、熱帯アメリカ。
挿し木可能。

17.次々咲く黄色大輪の美女 オオバナアリアケカズラ(キョウチクトウ科)

枝に咲いている黄色くて大きな花のオオバナアリアケカズラの写真

常緑半つる性の低木です。大きな明るい黄色の花は枝の先に付き、温室内でもぱっと目をひきます。英語名はゴールデン・トランペット。南米原産のアリアケカズラの園芸種で、十分な日光と温度があれば年中開花します。つるもよく伸びるため、時々ばっさり切って手入れをしています。温室内には八重のものもあります。熱帯アメリカ原産の園芸品種ですが沖縄でもよく植えられています。

16.青い着生の美女 バンダ(ラン科)

青いランと言えばバンダ。温室内でも目を奪われる青色です。バンダは着生ランで、根をむき出しにして木にまとわりつく様にして生きています。根は空気を好み、一般的洋ランのようにミズゴケや土に植えると根腐れを起こしてしまいます。そのため、育てる際には木箱やバスケットにそのまま根を入れます。
寒さに弱く、生育するには気温を18~20度以上に保つ必要があります。

2輪の紫色に白い斑点がある花びらのバンダの写真

原産地、東南アジア。
日当たりも、風通しも、適度な湿度も好む。

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昆虫館
奈良県橿原市南山町624
電話:0744-24-7246
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