人権コラム
人権コラム(39回)
拍手の音から考えよう
人権コラム(第39回)拍手の音から考えよう
人権コラム第39回目を担当する人権・地域教育課です。
拍手や手拍子をした時のことを思い浮かべてください。パチパチパチと音が鳴ります。音は手と手がぶつかり合うことで発生します。大きな音を立てようと思えば、ちょっと痛いですが強く手と手をたたき合わせると大きな音が鳴ります。
このように述べたときに何か違和感はありましたか。いたって当然のことのように思えますが・・・。
「手の平って柔らかいのに、柔らかいもの同士をぶつけ合ってあんなに大きな音になるのかな。」と素朴な疑問をもって研究を進めた人たちがアメリカのコーネル大学にいました。そして、3年かけて拍手の音の仕組みを解明しました。正確をお伝えすると、拍手の音の正体は両手がぶつかり合う音ではなく、両手の間の空気が、親指と人さし指の根本のすき間から噴き出すときに生じる音であることが先日アメリカの科学誌に掲載されました。つまり、拍手の音は手と手がぶつかり合って出ているのではないのです。
今回、このエピソードから伝えたいことは、当たり前に思い込んでいることについて「本当かな?」「根拠は?」と、きちんと考えることの大切さです。例えば、友引の日を避けてお葬式をすることなどがこれに当たります。友だちを引き連れて行ってはいけない、との考えが漢字から連想できますね。しかも、この『迷信』は「友引に葬儀を行う際は人形を棺に添える。」という新たな『迷信』も生んでいます。友引は避けて葬儀を行うことはなんとなく当たり前になってしまっているかもしれませんが、理由を説明することはできません。なぜなら、友引は六曜といって『先勝・友引・先負・仏滅・大安・赤口』の6つを繰り返すただの順番だからです。しかも、六曜の考えは中国から入ってきたのですが、本来の由来は、先勝(午前中・吉)と先負(午前中・凶)の間にあって共に引き合って勝負なしに由来する『迷信』です。なので、漢字で表現すると『友引』ではなく『共引』なのです。共が友と解釈され、友を引くという意味に曲解されたのです。ただ、ここまで知らなくても、「ただの順番かも」「深い意味はないのでは」とかんておられた方は少なくないと考えます。ところがいざ、大切な人のお葬式を友引に設定するとなると、心の葛藤はいかがでしょうか?「これまでもそうしてきたんだからわざわざ友引の日を選ぶ必要はない。」や「訪れる人の中に気にする人がいるかもしれない。」このような考えがあるかもしれません。まず、これらの考え方は『迷信』を守ることにつながります。『迷信』の中には大峰山の女人禁制など特定の方の行動を制限してきたものもあります。更に『人の死』=『ケガレ』との考えが根底にあり、今では少なくなりましたが『忌中札』や『清め塩』などの、生前必死に生きてこられた方やその家族を遠ざけてしまう『風習』にもつながっています。
拍手の音についての研究者の一人であるコーネル大学のイツォン・フーさんは「なぜ、手と手をぶつけ合って音が鳴るのかという好奇心に突き動かされた研究が示すのは、日常にもっと注意を向けるべきだとのことです。深く考えれば、そこには学ぶべき新しいことがたくさんあります。」と語っておられます。今回は六曜について紹介しましたが、それ以外にも特定の人を遠ざけてしまったり、決めつけてしまったりする『迷信』や『風習』があります。六曜のようにすぐに分かることもあれば、拍手の音のようにすぐには分からないこともありますが、「あれ?」と思うことを大切に、気になったら少し調べてみませんか。
※忌中札・・・死者を出した家には黒幕を張り、『忌中』と書いた札が貼られます。死そのものを不浄とするばかりか、死者の出た家にケガレがあり、第三者がそこに入り込むととケガレがうつると考えられたことによるものです。
市役所職員向けに作成したコラムです。
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更新日:2026年01月19日