かけはし

更新日:2025年09月22日

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かけはし66号

丙午から考えよう

かけはし~丙午から考えよう~第66号

来 年の2026年は午(うま)年ですが、ちょっと特別な午年です。60年に1度訪れる丙午(ひのえうま)と呼ばれ59年前の1966年の出生数は約136万人で前年の約182万人から約46万人も減少しました。なぜそのようなことが起こってしまったのかというと、「丙午に生まれた女性は気性が荒く夫の命を縮める」等の話が広まったからです。ただ、迷信ですので「夫を食い殺す」や「丙午の年に火事が多い」などエピソードは1つではありません。

では、丙午とは何なのでしょうか。丙は陰陽五行に由来があります。陰陽は兄(え)・弟(と)の繰り返し、五行は木・火・土・金・水の繰り返し、この2つを組み合わせて、木の兄→甲(きのえ)、木の弟→乙(きのと)、火の兄→丙(ひのえ)、火の弟→丁(ひのと)と続き全部で10あり十干といいます。午は十二支(子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥)で12あります。これを組み合わせていくと1.甲子(きのえね)2.乙丑(きのとうし)と続いていき全部で60あります。60歳で還暦を祝う風習はこの十干十二支からきています。ちなみに今年は乙巳年です。今年が巳年であることは1月を中心によく報道されているので認知度は高いと思いますが、乙であることはあまり認識されていないと思います。上の写真は橿原神宮の絵馬なのですが、よく見ると左端に書かれています。

では、実際来年の出生数はどうなるのでしょう。もちろん今の時点で結果はわかりませんが、丙午はただの順番ですので、夫の命を縮めるや夫を食い殺すということが現実になると考えている人はほぼいないと考えます。しかし、60年前は出生数が前年度の約4分の3に減るということが実際に起こってしまいました。迷信は時代とともに薄れてきているので、今回はそもそも丙午の迷信を知らない人が多いことが考えられます。根拠のないことなので知る必要もないのですが、知らなければ知らないまま過ぎていくことができるのでしょうか。日本総研の藤波匠上席主任研究員は「若者たちは意識しなくても親や周囲が気にする可能性」と「SNSで根拠のない噂が広がり同調圧力が強まる」ことを懸念しておられます。丙午は迷信だと啓発することの大切さを藤波さんは指摘しておられます。知らない人が多いからと、そっとしておいていいわけではないという考え方は丙午のことだけではなく、広く言えることだと考えます。そして、正しく知らなかったために迷信に惑わされて産み控えにつながることは、子どもを授かりたいと考える本人たちのためにも避けなければなりません。正しく学ぶことが大切なのですが、今回正しく学ぶ必要があるのは、子どもを授かりたいと考える人だけでいいのでしょうか。藤波さんは「若者たちは意識しなくても親や周囲が気にする可能性」を指摘しておられます。例えば丙午の迷信を信じてしまうと「丙午の女の子か~」と将来が心配な気持ちでお孫さんを抱きかかえることになってしまいます。そんな根拠のないことに惑わされることなく、産まれてくるお孫さんとの触れ合いを純粋に喜べることが幸せではないでしょうか。だからこそ、自分のために、正しく学ぶことで不必要な心の壁を取り除くことが大切だと考えます。そして、正しく学ぶ必要があるのは丙午のことだけではないと考えます。

                                                                                        人権・地域教育課

 

 

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