かけはし

更新日:2025年07月31日

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かけはし64号

Birthday song『ギフト』から考えよう

 

   相模原市の障がい者施設津久井やまゆり園で利用者19人が殺害された事件から7月26日で9年が経ちます。事件の約1ヵ月前も含めて津久井やまゆり園で5回ほどのライブを行っておられた、歌手の酒井美百樹(みゆき)さんの曲『ギフト』の歌詞の一部を紹介します。

 

ある日 パパとママは先生に呼ばれて君のことを言われた

この子が歩くこれからの道は 他の子よりゆっくりでしょうと

泣いて泣いてごめんね 元気に産んであげられなかった

もし 私が代われるなら この命 引き換えにして・・・ 神様

もう泣かないで パパとママを信じ生まれてきたんだよ ねえ笑ってよ ただ抱きしめてほしい

あ の日のことがうそみたい おだやかな日々が続いていく

君がめぐり会わせた たくさんの人たちの愛

教えてくれて ありがとう ママにしてくれて ありがとう

ありふれた毎日が かけがえないと気づいた

君のこれからの未来が 幸せでありますように・・・その笑顔 守りたい・・・

 

   酒井さんはダウン症の娘さんの7歳の誕生日プレゼントとして『ギフト』を作られました。歌詞には、子育ての苦悩を経て得られた幸せを「ありふれた毎日がかけがえないと気づいた」とつづっておられます。幸せな酒井さんですが、出産3週間後にダウン症と告知されたときのことを「正直、障がい者への偏見があり、絶望した」と語っておられます。「うちの娘、ダウン症なんだ」の、その一言が友だちにさえ言えなかった時の心境を「泣いて泣いてごめんね。元気に産んであげられなかった」との歌詞でつづっておられます。たった3日間で書き上げられた『ギフト』ですが7年間の心境の変化と、辿り着いた幸せな思いがぎっしり込められています。そして告知により絶望した心境から幸せな心境に変わるのに7年もの月日が必要だったのだと考えます。

   心境が変わられたのは酒井さんだけではありません。津久井やまゆり園事件で警察は遺族らの強い要望があるとして犠牲者全員を匿名で発表、公判でも『甲A』など匿名で審理されていた状況に安心しておられた遺族もおられました。一方、許せない事件にも関わらず植松聖死刑囚の「障がい者は不幸をつくる」などの発言に共鳴するSNSの投稿もありました。そんな状況においても、事件から3年半後「娘は一生懸命生きていた。その証を残したい」と、お名前を公表された遺族の方がおられました。2021年に事件現場に慰霊碑が建立されたのですが、実名が刻銘されたのは7名、今も10名しか刻銘されていない現実があります。このことについて変わらないといけないのは、遺族の方ではなく私たちだと考えます。私たちも、酒井さんのような自分を語ってくださる出会いを通して自分を見つめ、変わっていきたいですね。最後に酒井さんの言葉を紹介します。「今、私は、いろんな痛みに向き合える機会があります。言いたいこと、伝えたい思いが毎日溢れて止まりません。不器用でカッコ悪くったっていい。ありのままの自分の生き様をさらすことで、誰かに何かを伝えられるのなら幸せです。」

                                                                                           人権・地域教育課

 

 

市内の教職員・保育士の方に向けて作成しております。

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