施政方針
令和7年度施政方針
令和7年度施政方針を述べるにあたり、まずは先の市議会議員選挙において、市民の信託を受け当選されました23名の議員の皆様に対し、心からお祝い申し上げます。議決機関としての市議会と市政を担う市長をはじめとする執行機関が、互いに欠くことのできない車の両輪の如く、互いに尊重し合い、信頼関係のもとに議論しながら、これからの橿原市を共につくりあげてまいりたいと考えております。皆様のご理解とご協力をお願いいたします。
さて、2期目の2年目を迎えた私の今年の目標は、平仮名3文字で「らしさ」です。1月28日、世界文化遺産登録を目指す「飛鳥・藤原の宮都」の国内推薦がついに正式決定し、ユネスコへ推薦書が提出されました。今年の夏頃にはイコモスによる現地調査も予定されており、順調に進めば令和8年夏頃に登録決定されます。また、橿原市は令和8年2月11日に市制70周年を迎えます。こうした節目の年を迎え、今年は橿原市「らしさ」を再確認し、橿原市の良さ、特に歴史や文化遺産、交通結節点で住みやすいまちであることなどをしっかりとアピールしてまいります。
もう一つの「らしさ」は、約12万人の市民一人ひとりが12万通りの人生を再確認し、自分らしさを高め、個性を磨き、やりがいのある豊かな人生を送れる環境をつくっていくことだと思います。4月からパートナーシップ宣誓制度を開始し、10月には日本女性会議を奈良県で初めて開催します。また、4月には奈良県立医科大学の新キャンパスがオープンし、令和13年には国民スポーツ大会・全国障害者スポーツ大会も開催されます。少し先にはなりますが、令和22年には紀元2700年という大きな節目を迎えます。これらのイベントや出来事を通じて、橿原市のポテンシャルをさらに高め、市民一人ひとりが自分「らしさ」を発揮し、活き活きと輝くことができるまちづくりを目指してまいります。
それでは、令和7年度当初予算の主な事業につきまして、「橿原市第4次総合計画」の4つの政策目標及び政策の土台のカテゴリーごとに簡潔に説明いたします。
1 みんなが活躍し、個性輝くまち
「子育てしやすいまち 日本一」を目指し、これまでに第2子以降の保育料無償化や18歳までのこどもの医療費の窓口一部負担金無償化など、様々な子育て世帯への支援策を実現してまいりました。安心して出産や子育てをすることができ、こどもたちが地域で健やかに成長できるよう、引き続き、子育て・教育環境の充実に力を注いでまいります。
市立小中学校のトイレの洋式化率は、全体の平均は約51%となっておりますが、学校ごとにかなりの開きがある状況です。どこの学校でも児童生徒が安心して快適にトイレを使用できるよう、令和7年度中に、まずは全ての市立小中学校で洋式化率50%達成を目指します。さらに、令和8年度以降も計画的に洋式化を進めてまいります。
こども園・幼稚園についても、園児たちのトイレに対する抵抗感を軽減できるよう、明るく楽しいトイレに順次改修するなど、保育・教育環境を改善してまいります。
学校給食については、物価高騰の影響を受けている保護者の負担を軽減するため、国の交付金を活用し、市立小中学校の2学期・3学期の給食費を無償化いたします。国・県・私立など市外に通学する小中学生には給食費無償化支援と同額の給付金を支給いたします。なお、1学期は、令和6年度に引き続き「もりもり食べよう橿原市給食基金」を活用して給食費の物価高騰分を支援し、保護者負担を増やさずに給食を提供いたします。
また、地場産品の活用や有機野菜の使用など、安心で安全な給食を安定的に継続して提供するため、公会計化を含めた学校給食に関するあり方を検討してまいります。
令和6年度に開始した子育て世帯訪問支援事業を拡充し、現行の「家事支援」に加え、「育児・養育支援」も実施してまいります。
産後ケア事業については、「居宅訪問型」「通所型(短時間)」に加え、「宿泊型(ショートステイ)」「通所型(長時間)」を実施し、産後に安心して子育てができる支援体制の確保を図ります。
また、産後うつや新生児への虐待の予防、母子の健康の保持や増進を図るため、新たに、産婦と1か月児の健康診査費用の助成を行います。
不妊治療については、一般不妊治療費用の助成に加え、より医療費が高額となる生殖補助医療費用の助成を行うことにより不妊に悩む方々の経済的負担を軽減し、積極的に治療に取り組むことができるよう支援いたします。
待機児童対策として、保育所の保育士不足を解消するため、従来の施策に加え、私立保育園に新規就職した保育士への就職準備金、家賃の一部補助、アルバイト保育士の人件費の一部の補助など、更なる保育士確保策を進めてまいります。
新設が予定されております病児保育施設については、施設整備費や開設準備経費を補助いたします。
市立幼稚園の再編については、真菅北幼稚園を令和6年度末で閉園し、4月からは一時的に耳成西幼稚園に統合いたします。真菅北幼稚園園舎解体後の跡地に公私連携法人が認定こども園を整備し、令和9年度より公私連携幼保連携型認定こども園として運営を開始する予定となっております。
市立の5つのこども園については、これまでも、幼稚園と保育所の両方の機能を持つ施設として運営してまいりましたが、今後の多様な保育ニーズに対応するため、幼保連携型の認定こども園への移行を進めてまいります。
いわゆる「小1の壁」問題を解消すべく、働く保護者の方々が安心して仕事を続けられ、こどもたちが安全に過ごせるよう、早朝のこどもたちの「居場所」を確保するための取組みを進めていきたいと考えております。
橿原市学校施設整備基本計画に基づき、令和5年に着工した真菅北小学校の長寿命化改良工事が3月に完了予定です。また、統合した白橿小学校の校舎として使用する旧白橿北小学校の長寿命化改良工事にも着工いたしました。八木中学校につきましても計画的に長寿命化改良工事を行ってまいります。
災害時の指定避難所でもある中学校の体育館の空調設備について、令和6年度から8年度の3か年で工事を進めているところです。令和6年度は大成中学校、光陽中学校、橿原中学校の整備を行いました。令和7年度は畝傍中学校、白橿中学校、令和8年度は八木中学校の整備を行う予定です。今後、小学校の体育館にも拡充するため、令和7年度は小学校全校の設計に着手し、令和8年度からの工事を予定しています。
また、市立小中学校の特別教室に空調設備を整備するための計画策定を行い、令和8年度中の設置を目指してまいります。
市立中学校の部活動については、国の方針を受け、奈良県でも令和8年度から教員の指導による休日の学校部活動を廃止する方向性が示されており、地域クラブ活動に移行することに伴い、橿原市においても、令和7年度中に休日の学校部活動の一部を実証事業としてスタートさせ、令和8年度に始まる地域クラブ活動への移行がスムーズに行えるよう検証を行ってまいります。
昆虫館については、開館から35年以上が経過しましたが、当初のコンセプトを踏襲しながら、より一層魅力的な施設への改変を目指し、建築物等の保全や展示物のリニューアルを行うための設計を実施いたします。
令和7年度はスポーツ推進計画の第2期がスタートします。引き続き、市民だれもがスポーツに親しみ、健康で豊かに暮らせるまちを目指して取り組むほか、橿原運動公園については、令和6年度に策定した橿原運動公園再整備基本構想に基づき、中央体育館の再整備や市民が水に親しむことができ、学校の水泳授業にも活用できるプールの整備などを中心とした基本計画の策定に取り組みます。
2 みんなが健やかに、支え合って暮らせるまち
冒頭にも申しましたとおり、女性活躍推進、男女共同参画社会の実現をテーマとした国内最大級の会議「日本女性会議」を、本年の10月3日から5日までの3日間開催いたします。橿原市では「日本国はじまりの地から未来へ~多様性を認め合う社会の実現を~」を本大会のテーマとし、開催を通じて、参加者相互の交流の促進やネットワーク化を図るとともに、橿原市の魅力を全国に発信してまいります。
市民の健康を守る取組みの一つ、予防接種事業について、個人の重症化予防を目的として、帯状疱疹ワクチンの接種を開始いたします。接種対象は65歳ですが、5年間の経過措置として5歳年齢ごと及び初年度については100歳以上の方は全員が対象です。子宮頸がんワクチンのキャッチアップについても、公費で3回の接種を完了できるよう経過措置を設けてまいります。
高齢者が元気に長生きできるよう、健康づくりや介護予防につながる取組みを推進しております。
認知症対策として、従来から行っている取組みに加え、個人情報保護にも配慮した見守り安心シールを導入し、はいかい疑いの方を保護した場合に早期に身元の特定につなげてまいります。
これからも市民一人ひとりに寄り添い、全市民が健やかに、支え合って安心して心豊かに暮らせるまちを目指してまいります。
3 みんなが安全に、快適な環境で生活できるまち
南海トラフ地震や奈良盆地東縁断層帯地震、豪雨災害など、いつ発生するかわからない災害に備え、国の補正予算を活用し、災害備蓄品を備えるほか、新たに災害用トイレトラックを購入することにしました。
令和7年度は、災害対応全般にわたる基本的な計画である橿原市地域防災計画を改訂し、観光客対策や近年の災害による課題や教訓なども反映いたします。また、避難行動要支援者に対して確実に情報を伝達するため、デジタル防災行政無線システムの整備を行ってまいります。
公共交通の運行について、地域住民の主体的な取組みを支援し、持続可能な新しい公共交通の確保に向けて、真菅地区において、3年目となる実証実験を行います。令和5年度・6年度の乗合タクシー実証運行結果の効果検証を踏まえ、今まで以上に利用者のニーズを叶える運行を目指します。
国土交通省が所管する京奈和自動車道については、橿原市内の未整備区間の整備が進められております。引き続き、市内すべての区間の早期開通を目指し、国への要望活動を含め、積極的に事業調整を進めてまいります。
下水道事業の経営環境につきましては、将来にわたって公平公正かつ安定して運営することが求められるため、公営企業としての経済性の発揮を念頭に、最少の費用で最大の効果を生むよう効率的な経営を行ってまいります。
下水道事業では、公共用水域の水質保全や生活環境の改善のため、公共下水道の普及率向上に向けた整備を引き続き行いつつ、ストックマネジメント計画に基づいた下水道施設の老朽化対策に加え、新たに令和7年度より既存施設の耐震化を進めてまいります。さらに、維持管理を適切に行うことにより、暮らしに欠かせないライフラインである下水道施設の最適化を目指すとともに、有事に備えた訓練を実施してまいります。
また、上水道事業が奈良県広域水道企業団に移行しますが、今までと同様に連携をはかり、事業を推進してまいります。
4 みんなが活力と魅力を生み、賑わいあふれるまち
冒頭でも申し上げましたが、「飛鳥・藤原の宮都」の令和8年の世界遺産登録に向け、関係機関と一層の連携を図り、全力で取り組んでまいります。
市民や来訪される方々へ「飛鳥・藤原の宮都」の価値をよりわかりやすく伝えるため、ARを用いたコンテンツの作成を行うほか、国内はもとより、海外からの来訪者の増加が見込まれることから、受け入れ環境を整備して来訪者の利便性を高めるとともに、更なる周知を図ってまいります。
また、大阪・関西万博、アフター万博を見据え、今後数年間が国内外へ「日本国はじまりの地 橿原」のブランディングと情報発信をする絶好のタイミングととらえ、メディアとも連携し、橿原市の認知度を高めてまいります。
包括連携協定を締結している株式会社カプコンの人気ゲーム「ストリートファイター」のコンテンツを活用したシティプロモーションも引き続き推し進めます。令和7年度では、企業版ふるさと納税を活用して、リュウ・春(チュン)麗(リー)・ケンに続く4体目の銅像(エドモンド本田)の制作・設置を予定しております。
人口減少や高齢化の進展に加え、公共施設・インフラ施設の老朽化や激甚化する自然災害等の課題に戦略的に対応するため、令和7年度・8年度の2か年で立地適正化計画を策定し、景観に配慮しながらも、積極的な規制緩和も含めしっかりと議論を行い、持続可能な都市の構築を目指します。
医大附属病院周辺のまちづくりについては、令和6年度に奈良県より新駅整備、線路西側での新アリーナ建設予定地などについての提案がありました。令和7年度は、引き続き、奈良県、近畿日本鉄道株式会社などの関係機関と協議を行ってまいります。特に、令和13年の国民スポーツ大会・全国障害者スポーツ大会の開催に向け、県では最大規模の5,000人を収容できる県立アリーナの建設も計画されていることから、スポーツのみならず、様々なイベントによる新たな賑わいの創出が大いに期待できます。このエリアに多くの人が訪れ、その効果が市内全域に波及できるよう、今後も協議を重ねてまいります。
5 市民とともに「かしはら」をつくる信頼の行政運営
私が就任以来、子育て・教育とともに力を入れてきたことの一つが、デジタル化の推進です。支払用QRコードを用いたキャッシュレス決済について、令和6年度に保育所の一時預かりなどにおいて取扱いを始めました。今後、現金取扱いのある施設へ順次拡大し、市民の利便性の向上を図りつつ、公金管理の安全性も高めてまいります。
また、市の各施設のアナログの電話交換機をデジタル化することで、管理を集約するとともに、既存のLAN回線を使用することによって電話回線の配線を減らし、トータルコストを低減いたします。
耐震性能を有しない市役所本庁舎の本館・西館の解体が無事に完了いたしました。跡地について、庁舎機能を含む民間複合施設の検討を引き続き進めてまいります。
これらの取組みのほか、風通しのよい職場づくりを目指すとともに、職場環境の充実、職員の働き方改革を推進するため、若手職員との意見交換を実施するなど、職員からの提案を積極的に取り入れることとしました。まずは公用車不足への対応としてカーシェア導入の実証実験を行うほか、各窓口の受付時間短縮を行う予定です。
以上、述べました事業は、主なものの一部です。申し上げたい事業はまだまだございますが、各事業については、当初予算書や予算の概要などをご高覧いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
限られた財源のなか、重点的に取り組むべきことにはしっかり予算をつけるという方針のもと予算編成を行いました結果、令和7年度当初予算案は、一般会計512億5千万円、特別会計290億8,630万円、公営企業会計51億9,115万4千円、公社会計18億9,442万9千円、総額では874億2,188万3千円となりました。一般会計を令和6年度当初予算と比較いたしますと、24億1千万円、4.9%の増となっております。
令和7年度も一般財源枠配分方式を継続し、歳入に見合った健全な予算規模を目指して予算編成を行いましたが、人件費・原材料費の高騰の影響などもあり、歳入歳出の均衡を図るために財政調整基金繰入金を約19.6億円計上するなど、厳しい予算編成となりました。
本市の財政は予断を許さない状況が続いております。今後も、持続可能で健全な財政運営を図るため、更なる歳出の削減に取り組むとともに、国の補助金や交付金の活用など、歳入の確保にも今まで以上に力を入れてまいります。
4月からいよいよ大阪・関西万博が開催されます。令和8年2月に橿原市は市制70周年を迎えます。「日本国はじまりの地」橿原市が持つ歴史と文化を背景に、未来に向けた新たな可能性を切り拓くべく、大きなチャンスを逃すことのないよう、これからも努力を重ねてまいります。
今年の干支「乙巳(きのとみ)」は、1380年前、645年の乙巳(いっし)の変を含む大化の改新の始まりと同じ干支であり、再生や変化を繰り返しながら発展していく改革の年といわれております。これまで以上の更なる発展を目指し、令和7年度も一歩一歩前進してまいります。
市民の皆様、議会の皆様のなお一層のご理解とご協力を賜りますよう、重ねてお願い申し上げまして、令和7年度の施政方針といたします。
過去の施政方針
この記事に関するお問い合わせ先
秘書広報課
奈良県橿原市八木町1-1-18(市役所本庁舎)
電話:0744-47-2632
お問い合わせフォーム
- みなさまのご意見をお聞かせください
-
更新日:2025年03月05日