かけはし

更新日:2025年11月13日

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かけはし68号

奈良県初の内閣総理大臣から考えよう

   

かけはし~奈良県初の内閣総理大臣から考えよう~第68号

橿原市立畝傍南小学校と畝傍中学校を卒業した高市早苗衆議院議員が、10月21日の首相指名選挙で第104代内閣総理大臣に選出されました。奈良県選出の国会議員としては初めてのことです。新聞やテレビの報道では、『奈良県初』よりも、憲法に基づいて行われる政治体制で初めての女性の首相などのように『女性初』の方が大きく報じられています。女性が首相に就いたことは、めざすべき男女共同参画社会に向けて大きく前進したのかもしれませんが、6月12日に発表されている世界各国の「男女平等」度合いを測った「ジェンダーギャップ報告書」によると、日本は148カ国のうち前年と同じ118位で世界的な比較では大きな課題といえます。このテーマについてはこれまでアンコンシャスバイアス(無意識の偏見)について発信することが多かったのですが、今回は『費やす時間』に着目して考えました。

めざすべき女性の社会参画推進について、家事や育児の役割が女性に偏っていることが課題の1つとの考えがあります。同時に、近年『パパ育』という言葉が一般的に使われるなど、役割の偏りは改善の方向にあるのでは、との考えもあるかもしれません。そこで、6歳未満の子どもをもつ家庭の1週間を平均した1日の育児時間のデータを紹介します。総務省の社会生活基本調査によると男性の育児時間は2001年の25分に対して2021年は1時間5分と、20年間で2倍以上になりました。一方、2021年の女性の育児時間は3時間54分で、依然として大きな差があることも事実です。ただ、育児に関しては2001年の女性の育児時間が3時間3分で、男性の育児時間が増えているにも関わらず女性の育児時間も増えています。つまりパパとママによる育児時間は20年前よりも増えました。トータルの育児時間が増えている理由としては核家族化等が考えられますが、この調査から明確な理由を提示することはできません。ただ、2015年の国勢調査で64.6%だった共働き家庭の割合が2020年の調査で69.4%に増加していることも踏まえ、保護者は以前よりもいそがしくなっているとの考えをもつことは、悪くない考えだと思います。そして『パパ育』に励んでいる教職員保育士の方もおられると思います。子どもとの時間を大切にする中で、自分が積極的に子育てすることで、『ママ』の負担を減らすことができ、1家庭というミクロの視点では男女共同参画社会の実現に向けても前進できていると考えることは自然なことです。しかし、データからは男性個人の努力を上回るトータルでの育児時間の増加という社会状況の変化があり、非常に難解な課題であることも分かります。

『 奈良県初』よりも『女性初』がクローズアップされた高市さんの内閣総理大臣就任は、ガラスの天井と表現される心理的な壁を越えたので、社会の意識が変わっていくことが期待できます。男女共同参画に向けては多くの企業等が方針を出しており、女性の管理職率や男性育休の取得率などの数値目標が目立ちます。ただ、よく見ていくと育児に対する理解の増進や支援する雰囲気の醸成などの記載があります。現実的な育児時間の偏りや時間増加も念頭に、まずは職場のなかまで不安や工夫そして不満などを訊き合いませんか。そこにはきっとご家庭ごとの事情のちがいがあり、訊き合うことでつながれるのではと期待します。

 

                                                                               人権・地域教育課

 

 

市内の教職員・保育士の方に向けて作成しております。

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