かけはし

更新日:2026年07月06日

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かけはし72号

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かけはし~将棋の女流棋戦から考えよう~第72号

2025年12月10日、将棋の福間香奈女流6冠が記者会見を開きました。内容は『妊娠・出産にかかわる日本将棋連盟の対局規定』に関して、前日の9日付で規定の変更を求める要望書と提案書を提出していたことについてでした。福間さんは2024年10月11日の白玲戦第5局、10月29日の女流王将戦第3局、11月18日の白玲戦第6局など4局を妊娠による体調不良のため不戦敗となった経緯があります。対局日程については、2024年5月に日本将棋連盟に「12月が出産予定日でタイトル戦と重なり、戦えない可能性がある」ことを伝えていました。それに対して将棋連盟は8月に「日程変更は難しい。タイトルを返上することもタイトル保持者の務め」と告げたそうです。その後、日本将棋連盟は2025年4月に『女流棋士公式戦番勝負対局規定』を定めました。その規定には「出産予定日を基準とした産前6週間から産後8週間までの期間と番勝負の日程が一部でも重複する場合対局予定者を変更する」と記されていたそうです。この規定は福間さんの要望書提出と記者会見後の12月17日に削除されました。

このことのついて福間さんが相談した知人の反応は「連盟の対応は完全にアウト(マタハラ)だね」だったそうです。同じ意見の方も多いと考えます。

将棋のタイトル戦は、ほぼ1年をかけて挑戦者を決め、タイトル保持者と挑戦者が3番勝負や5番勝負、長いもので7番勝負を戦います。スポンサーの協力も得て、老舗旅館や有名ホテルなどで決まった時期に開催されます。前夜祭、大盤解説や動画の配信などを楽しみにしているファンの方もおられます。長い準備期間と大勢の関係者の協力、調整が不可欠で、日程や場所を変更することは多方面に大きな影響を及ぼします。白玲戦、女流王将戦は共に福間さんがタイトル保持者ではなく挑戦者だったこともあり、対局環境を椅子対局に変更する調整はできたそうですが、日程の変更は簡単なことではなかったのかもしれません。

今回のように正しいことをしたい(日程を変更したい)と考えても実現が難しいことはあると思います。また正しいことを実現する過程の1つに、多くの関心をもち自分事と捉えることがあると思います。今回福間さんが発信してくださったことは複数の新聞にも取り上げられるなど私たちに考える機会を与えてくださいました。そして、この件で取材された新聞記者の1人は「心のどこかで出産のためには不戦敗も仕方ないのでは」と考えていた自分に気づかされたとの記事を掲載しました。福間さん(当事者)と出会い、考えが変わられたようです。

福間さんは記者会見を開くにあたり「除名も覚悟していた」そうです。それでも「戦わずして負けることは、言葉では言い表せない無念さがあったこと」や「もしタイトル返上を了承したら、次の人も『福間さんもやったからお願いします』と言われてしまう」などの思いがあり今回行動されました。このことについてはまだ解決していませんが、記者会見のその日のうちに、倉敷藤花戦を主催する岡山県倉敷市は規定の見直しを求める申し入れ書を将棋連盟に送付しました。将棋連盟外部理事の木村草太東京都立大学教授も福間さんにエールを送られています。たとえすぐには成果が出なくても、がんばる人には共に歩んでくれる人がいる、そんなエピソードを紹介してかけはしを結ばせていただきます。ありがとうございました。

                                                                                                                    人権・地域教育課

かけはし71号

子ども食堂から考えよう

   

かけはし~子ども食堂から考えよう~第71号

 子ども食堂の活動が広がっています。2025年度は1万2601ヶ所で運営されており、この4年間で倍増したそうです。ACジャパンの広告にもなっており、社会に定着してきたようにも思えます。子ども食堂では、地域住民がボランティアで担い手になり、生活困窮世帯の子どもらを対象に無料や低額で食事を提供してきました。公共施設を借りたり、飲食店で定期的に開いたりと形態はさまざまで食材は寄付で集めているケースが多いそうです。しかし、今では『食』にとどまらず、学習支援や放課後の居場所づくり、高齢者を含む世代間の交流取り組む団体も増えているそうです。その背景には自治会への加入率の低下が示すように地域社会のつながりが弱まっていることがあり、新たな共助の取組として定着してきたとの見方もあるようです。

 ところが、東京で『だんだん、こども食堂』を始められ、子ども食堂の名付け親ともいわれる近藤博子さんが子ども食堂の大きな流れからは一線を引くことを決断されたそうです。その理由として「『こども食堂は子どもの貧困解消に役立つ、良いことだ。』というイメージが広がりすぎています。企業も、こども食堂に寄付することで、子どもの貧困対策に貢献しているというイメージが生まれいています。でも、月に1度や2度、あるいは週に1度、食事を提供しても、おコメを2キロ、3キロ渡しても、子どもの貧困は何も変わりません。これまでこども食堂を続けるなかで、子どもの状況はますます苦しくなっている現状を目の当たりにしました。子どもの貧困は、国や自治体が、親の就労問題や、子どもの教育問題、住宅問題などに真剣に取り組まなければ解決しません。」と述べておられます。

 9月25日に中央教育審議会教育課程企画特別部会から出された論点整理にも、家にある本の冊数が少なく学力の低い傾向が見られる子どもが学級に在籍している割合は、小学校で36.5%・中学校で38.4%とのデーターが示されました。これ程高い数値なので毎日関わる子どもを思い浮かべたときに1人ではなく複数の子どもが思い浮かんでしまうと考えます。私たちは、気になる子どもに毎日声を掛け、居場所を作り、誰一人取り残さない授業をめざすことはできても、子どもの貧困の課題に直接アプローチすることはできません。橿原市では学校運営協議会を設置しました。地域の力を頼るのはどうでしょう。近藤さんは「学校の中だけでは対応が難しいことを外から支援することはします。ただ、素人的なアセスメントと学校のアセスメント、支援側のアセスメントがなかなかかみ合わないです。多分、当事者も学校と、福祉と、地域とに向ける顔も話す内容も違うんですよ。」と地域教育連絡協議会の委員としての立場でコメントされています。当然のことですが、子どもの貧困は大きく根深い課題であり、即効性のある解決方法はないようです。

 最後に子ども食堂が増える背景は格差だけではなく孤立・孤独もあるそうです。そして近藤さんは「子どもは時間が経てば成長していく。地域のここなら、お父さんやお母さん、先生とは違う大人がいて、話を聞いてくれる。子どもたちにそんなお守りになる場所をもたせてあげられればいい。」とも語っておられます。私たちが毎日声掛けなどを繰り返し続けることに即効性はありませんが、子どもとつながることができるので無力でもないと考えます。

                                                                                                  人権・地域教育課

 

 

市内の教職員・保育士の方に向けて作成しております。

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